繰り返すが、産後、どうしたって、妻から夫への愛情曲線は低下する。
妻は、思い通りに動いてくれない夫にイライラする。
夫は妻の言動の真意がつかめず、おろおろしたり、距離をおいたりする。

 

しかし悪いことばかりじゃない。産後クライシスを通して学べることがあるのだ。

妻は、思い通りにならないことへの適応力を高める。これが子育ての予行練習にもなっている。
夫は、理不尽なことを受け止める懐の深さを身につける。長い人生において、理不尽に際しても、家族を守る覚悟ができているかどうか、試されているのだ。
また、妻も夫も、不平や不満があるときには口に出せばいいのだということを学ぶ。

そして、夫婦喧嘩に際しても、いつまでも不平や不満をぶつけるだけでなく、お互いに、相手を思いやり、助け合わなければ解決できないことがあることを学ぶ。

これが免疫をつけるということ。

 

夫が仕事にかまけて育児を妻任せにすることも許されないし、妻が産後クライシスを免罪符にして横暴に振る舞うことも許されない。
お互いに、相手を理解し歩み寄る訓練の場として、産後クライシスは存在しているのだ。
子どもを育てている中で、さまざまな困難や危機に際しても、コミュニケーションパニックに陥ることなく、ふたりがいつでも力を合わせることができるように、ふたりの関係を強めるための訓練なのだ。

ときにはガツンとぶつかってもいい。大変だがしかしそれも決して無駄にはならない。

最終的にお互いを認め合うことができれば、夫婦関係の成長というかけがえのない見返りが待っている。

 

そう考えると、むしろ産後クライシスがない夫婦のほうがあぶない。

子どもが、反抗期を経験しないまま大人になるようなものだ。
夫婦が成長するために必要な試練を経験していないということだ。
長い人生の中で、これからやってくるであろうさまざまな危機に対処する免疫がつくられない。 

子どもの反抗期を回避しちゃいけないように、夫婦間の産後クライシスだって回避しちゃいけない。
そもそも回避しようとしたってうまくいかないからそれ自体がストレスになる。