さて、富久娘酒造のやったことをここでもう一度見てみましょう。

 

「純米酒に醸造アルコールを混ぜる」

 

これはアウトですね。醸造アルコールを混ぜた時点で、「純米酒」と名乗ることはできません。これがもし規定の量以内だったら、「本醸造」などの表記だったら問題はなかったわけです。仮に本醸造相当のお酒だったとして、「本醸造を純米酒に偽装表記した」ということになるわけです。

 

ちなみに言うと、よく誤解を受けるのですが、醸造アルコールを混ぜること事態は何も問題はありません。上記のように特定名称酒ですと量が制限されていますし、大吟醸酒とかになると、本当にちょこっとしか入っていません。また、醸造アルコールの量に制限が無いと思われている普通酒でも、現在は制限されています。

 

日本酒で醸造アルコールを悪者にするときに必ず出てくるのが「三増酒」です。これは戦後の米不足のときに醸造アルコールを使って元の日本酒を3倍に薄めて増やすというやり方で作られたお酒です。現在はこの「三増酒」は造られておりません。平成18年の酒造法改定から醸造アルコールの量が普通酒であろうと制限され、白米重量の50%以下になりました。なので3倍まで増量すると「清酒」と名乗れない、日本酒として売れなくなっているのです。まだこのことが決まってから10年と経っていないため、少し古い資料では「三増酒が出回っている」と書かれていたりするのですが、現在では市場に出ていないということを覚えておくといいでしょう。