まず、輸送。輸出の場合、船で数か月かけて運ぶ必要がある。さらに、トラックで大陸を長時間、輸送しなければならない。この間、酸化を防ぐためには防腐剤を大量に入れる必要がある。現地生産でも、長時間のトラック輸送が必要なことに変わりないので、やはり防腐剤が必要だ。

 

「酸化を防ぐために防腐剤を大量に入れる」という時点でもうおかしいですよね。酸化を防ぐためには酸化防止剤ではないのでしょうか。

 

じゃあ日本酒は腐るのかというと、そうではありません。日本酒が腐るのは主に「火落ち菌」という菌が原因になります。なので「火入れ」という加熱殺菌処理をすることにより、火落ち菌によって腐ることがないようにしているのです。

 

ちなみに輸送の件ですが、現在ではコンテナ技術などの発達により、しっかりと温度管理された状態で運ばれています。アメリカでも冷蔵流通はあります。ここで言われているようなほどひどくはありません。

 

次に小売。そもそも、日本酒は、スーパーで簡単に手に入るというものではない。宗教上や治安の問題から、リカーショップでしか日本酒は買えない。しかも、リカーショップは平日の午後6時までしか開店できない。土日や、会社帰りには買えないわけだ。そうすると、どうしても回転率が悪くなる。そこで、小売段階でも防腐剤が必要になる。

 

こちらは州によって法律が異なっているため、ひょっとしたらそういうところもあるのかもしれません。でも、僕の知っている範囲では普通にスーパーで購入することができます。

 

そして、この展開で何故防腐剤が必要になるのかさっぱりわかりません。この論をそのまま受け取ると、あまり回転率がよくない酒屋だと、日本で売る時でも日本酒に防腐剤を入れる必要があるのではないでしょうか。もちろん現実にはそうではありません。そもそも火入れしているお酒には防腐剤は必要ありませんし、生酒(火入れをしていない日本酒)は要冷蔵で管理されています。

 

どうしても家で飲みたい場合は、「日本料理店などで、店の売値で譲ってもらうのが一般的」(カナダに住む日本人)だという。

 

というわけで、全然一般的ではありません。

 

このような流通システムでは、「日本で飲む日本酒のような防腐剤が入っていない酒は、売れる前に酸化してしまう」(先の酒造会社役員)。また、防腐剤入りを販売しても、「まず、日本人が飲まない。北米の人々も本物の日本酒の味を知っている人ならば、まず、飲まない」(同)。味を知らない人でも、「防腐剤がきつすぎて、なかには、体調を崩す人もいる」(同)そうだ。

 

今まで読んでいただいた方は、ここが全然嘘だということがわかりますよね。防腐剤がそもそも入っていないのです。

 

日本でもアメリカでも、内容物に関しての表記は厳しく法律で定められています。表示義務があるので、もしも防腐剤が本当に入っているのだったら、必ず表記されているのですね。でも、そういった話を聞いたことがありません。実際に海外で売られている日本酒を見た範囲でも、表記されているのを見たことがありません。