ぼくがゲーム会社に入社したのは1987年。
上司から呑みや晩飯に誘われたら、ほとんど断ることはなかったと思う。
小さな会社だったから、すぐに部長みたいになった。数年後には新人を教えたり、まとめたりする立場になった。
その頃、新人を呑み会に誘ったら、「就業時間外ですから行きません」と断られた。
ちょっとショックだった。
いや、「行かないです」というのならいい。わざわざ「就業時間外ですから」と言うことないじゃないか、と思った。

 

日本型雇用はメンバーシップ型だという。メンバーシップ型というのは、いわば家族の延長線だ。ファミリーになる。
だから、終身雇用だ。途中でクビになることも、辞めることもない。家族なのだから。
そうなると、当然、職に就くことよりも、その一員になることに重きが置かれる。技能を持っていなくても家族にはなれる。
家族の生活の中で、自分の位置を見つけていく(OJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングは、いわばそういうことだ)。

 

「就業時間外ですから行きません」と呑み会を断った新人は、そのファミリーであることがウザかったのだろうと思う。
家族でいることは、ある種の安心や安定ではあるけれど、うっとおしく、ウザいものでもある。

 

メンバーシップ型であることが、終身雇用を生み、新規学卒就職モデルを作り出した。
そして、そのモデルに軋みが生じている。
というのは、理解できる。賛同する。
『若者はなぜ「就職」できなくなったのか?』という本は、ていねいに、そのあたりを詳しく解説していて、腑に落ちた。

 

「ジョブ型正社員」と日本型雇用システムという記事も、コンパクトに解説していあって、よくわかる。
メンバーシップ型は「ブラック企業」問題の根源だという主張も、わかる。家族が、個人を檻のように縛りつけることは多々あるだろう。