30年も前の話だが、はじめてパリを訪れた時、ホテル前の石畳を歩きはじめた瞬間に、ヌルっとした感触が靴底に…いきなりパリの洗礼を受けたのであった。

 

当時のパリは、シャンゼリゼもオペラもどこへ行っても犬の糞が落ちていた。はっきりいって踏まずに歩くことが難しいほどだった。その後、何度もパリに出かけているが、何度も犬糞を踏んづけている。パリの美しい景観に気をとられているときに犬糞を踏みつけてしまって、ひどい思いをされた人もいるだろう。パリの歩道は犬糞だらけで、パリの不名誉な名物のひとつになっていたほどだ。

 

その後、パリ市も犬糞問題に取り組みはじめた。シラク大統領がパリ市長だったころ、シラク氏考案によるモトクロット(motocrotte、ウンチ・バイク)と呼ばれる犬糞のお掃除バイクが登場した。グリーンのユニフォームを着た清掃ライダーが、強力なバキュームホースで犬糞を吸い込んでいく。その愛嬌たっぷりのモトクロットの作業を眺めているのは、なかなか楽しいものだった。しかし、効果はあったのだが、あまりにも維持費がかかりすぎるという理由から、姿を消してしまうことになった。

 

パリ市は、2002年から飼い主の犬糞処理を義務づけることを決定した。違反者には罰金35ユーロが課せられるようになったが、駐車違反のような厳しい取り締まりはなかったようだ。それよりも、政府が飼い主に簡単にできる犬の排泄教育を指導するようになり、パリの犬糞公害はかなり改善されたのである。(パリ以外の都市では、いまだに犬糞のたれ捨て状態が続いているようだ)たしかに、現代のパリは安心して歩けるようになった。

 

以上、パリで見られる犬糞に関する話だが(極端な例だが)、これはフランスだけの問題ではなく、同じような問題がいろんな国で見られる。日本でもまったく同じことが言えるのではないだろうか。