その昔、毎週1物件ずつ、特徴のある賃貸物件を紹介するという記事を担当していた。まっとうに個性的な物件から、ネタ的に面白い物件までいろいろあったが、そのうち、ばかばかしさから取り上げたモノがあった。

 

バブルまっただ中、ゴージャスに走った物件で、大きなバスタブには金のライオンの頭をした吐水口がついていた。蛇口をひねるとライオンの口から湯が流れてくるというもので、写真を見た限り、かなり精緻に作られていた。しかも、14金とか、そのくらいのレベルだが、ホントの金を使っているという。

 

で、取材に行ってもらったわけだが、その後日談がある。入居者が金を剥がしてしまったというのである。金の価格がいくらだか、そのあたりはよく知らないが、そこそこでかい吐水口だったから、剥がして売れば何がしかにはなったのだろう。あるいは、単純にいたずらだったのかもしれない。まあ、いずれにしても剥げ剥げの獅子頭になってしまったのである。

 

もちろん、そんな恰好悪いものを使い続けるわけにはいかない。全体にゴージャスが売り物の物件なのである。だが、交換しようと見積もりを取ったところ、価格的にとんでもない上に、海外からのお取り寄せになるので、2~3週間以上はかかるという。

 

そこで、オーナーは決断した。それだけの時間と手間をかけて交換しても、たぶん、また、金を剥がすやつが出てくるだろう。だとすると、いたちごっこ。フツーの吐水口にしようじゃないか。こうして、珍しい金のライオンの頭付き物件は登場から間もなく市場から消えたのであった。