今でこそファッションエディターという仕事は華やかな扱いを受けていますが、このポジションの意義を世の中に知らしめたのが、伝説の編集者、ダイアナ・ヴリーランド。

 

パリ生まれのアメリカ人であるダイアナはファッションメディアの世界に50年間にわたって特別な存在であり続けました。

 

彼女の一生を振り返ったドキュメンタリー映画が『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』。

 ダイアナの孫と結婚したリサ・ヴリーランドが監督しています。

 

ダイアナは「ハーパース・バザー」誌でカリスマエディターとして1937年から25年間にわたって活躍。その後、62年からはライバル誌「ヴォーグ」の編集長に就任しました。

 

「ヴォーグ」といえば、アナ・ウィンター編集長で有名ですが、アナより前に編集長として腕を振るい、「ヴォーグ」の評価を確立した女性がいたのです。

 

「ヴォーグ」を離れた後も、70歳でメトロポリタン美術館衣装研究所の顧問に就任し、常識を越えた衝撃的なファッション展を数多く成功させました。

 

メトロポリタンでは多くのファッション展が開催されていますが、その流れをつくり出したのは彼女だったわけです。

 

いつも完璧に塗られていた真っ赤なネイルがトレードマーク。
黒タイツにフラットシューズを合わせたのはダイアンが初めてといわれます。
デビューしたてのミック・ジャガーをいち早く雑誌で取り上げたり、マノロ・ブラニクに靴のデザインをすすめたといったエピソードに事欠きません。
ツィギー、イーディ、リチャード・アヴェドンなど、数々の才能を世に送り出したのも、彼女の功績です。

 

日本の芸者や歌舞伎、相撲に感動して、日本のスタイルを絶賛してくれた人でもあります(日本の相撲や芸者もこの映画に出てきます)。

 

本人のインタビューと貴重なアーカイブが公開されているほか、著名デザイナーや写真家、セレブリティなどのインタビューも収められていて、彼女の存在の大きさにあらためて驚かされます。
ファッション、アート、音楽など、様々なカルチャーが当時、どのように影響し合っていたかも感じ取ることができます。

 

あけすけに言えば、とりたてて美人というわけでもないダイアナがハンサムでリッチなパートナーを射止めるというところも、以前、こちらでご紹介した映画『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』のウォリス・シンプソン夫人と通ずるところがあります。
ウォリスは「私は美人でもないけど、一番の武器はファッションセンスがいいこと」と映画の中で語っていました。ダイアナも独自のファッションセンスを持っています。

 

なんとダイアナは母親から子供の頃に「小さい醜いモンスター」と呼ばれていたそうです。でも、それをバネに、ダイアナは他人が評価する美や才能にとらわれず、新しいエレガンスや美の世界をつくりあげていったのです。

 

パーフェクトなモデルが当たり前の時代に、個性を持ったパーソナリティとしてモデルをとらえ、大きな鼻、長すぎる首、ソバカスなどの短所をチャームポイントに変えてしまう手腕。

 

「スタイルこそファッション」「新しい美に匹敵するのはパーソナリティ」

 

このような言葉からも新しいエレガンスや世界観をつくりあげた、ダイアナの美やおしゃれについての考えがうかがえます。
ファッション好きにはもちろん、多くの女性にとって自分の特徴を個性として評価する勇気を与えてくれる映画です。
映画を通して、自分のスタイルとはどんなものか?ということを考えるいいきっかけにもなるのではと思います。

 

『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』
公開: 2012年12月22日(金)よりシネマライズ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国順次ロードショー!
(c)MAGO MEDIA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
提供:シネマライズ
配給:シネマライズ×ギャガ
監督・製作:リサ・インモルディーノ・ヴリーランド
出演:ダイアナ・ヴリーランド ほか
http://dv.gaga.ne.jp/