会話は糸口が重要だと言われていますが、まだあまり親しくない人や初対面の人と話を始める場合、共通の要素があるとスムースに会話に入りやすくなります。“天気”や“お洒落”に関する話題は共通項の代表格。“国民的ドラマ”も然りです。そんな糸口がきっかけで、あらゆるところで会話が盛り上がれば、日本全体のムードが良くなると言ったら飛躍し過ぎでしょうか。

 

今クールは、会話の糸口となる“国民的ドラマ”が2つも揃いました。「あまちゃん」と「半沢直樹」です。どちらも“じぇじぇじぇ”、“やられたらやり返す。倍返しだ!”という使ってみたくなるフレーズも強力で、口コミに拍車が掛かったようです。ウェブが台頭するとテレビは見られなくなるという予測がありますが、その一方で、ウェブのバイラル効果でドラマの人気が加熱することもあるという事例を、「家政婦のミタ」以来、見せつけられました。

 

とくに「半沢直樹」は、初回19.4%の視聴率からスタートし、一度も数字が落ちなかったというから驚きです。その結果、全話平均28.7%、最終回42.2%という驚異的な記録を叩き出し、今世紀最高視聴率のドラマとなりました。そう、「半沢直樹」は「家政婦のミタ」や「ひとつ屋根の下」、「家なき子」、「101回目のプロポーズ」、「GTO (1998年)」、さらに木村拓哉主演の「ビューティフルライフ」、「GOOD LUCK!!」、「HERO」、「ロングバケーション」を加えた歴史的ドラマたちを越えたのです。

 

「半沢直樹」は都市銀行の人間関係を骨太に描いた作品。私自身を始め、「ハゲタカ」好きな男性が見るのはわかるのですが、もっと幅広い層に支持されたのには、口コミ以外にもいろいろと要因が挙げられそうです。その筆頭が、キャスティング&演技力でしょう。主演の堺雅人はもちろん、香川照之や片岡愛之助といった実力のある俳優陣が、個性的なキャラクターをコメディすれすれで演じ切っていたからこそ、1対1の会話が続くシーンも飽きることなく引き込まれていきました。

 

また、主人公を支える妻役の上戸彩の存在も忘れてはなりません。癒やしたり叱咤激励したりしながら夫を支える姿に、主婦を始めとする女性たちが感情移入したことでしょう。ネット上では賛否両論あったようですが、個人的には、天真爛漫なムードが生きていたように感じました。