ところで、そもそも習慣って何でしょうか? 習慣は、「長い間繰り返し行ううちに、そうするのが決まりのようになったこと。その国やその地方の人々の間で、普通に行われる物事のやり方、社会的なしきたり。心理学で、学習によって、後天的に獲得され、反復によって固定化された個人の行動様式」を示します。また、『American Journal of Psychology」では、心理学の観点から、習慣とは、「以前の繰り返しの精神的な経験を通じて獲得した、多かれ少なかれ、固定された考え方、喜び、感じ方のこと」と定義しています。

 

毎日何となくやっていることの積み重ねが、私たちの人生に大きく影響します。健康的な食事を心がけてアクティブにしている人は、自然と引き締まった体型になり、ファストフードばかり食べてじっとしている人は、余分な脂肪が体に蓄積します。思考も習慣化します。前向きに考えられる人はイキイキと楽しそうで、ネガティブになりがちな人は何をやってもつまらなそうです。もし、私たちが今の状況を改善したいなら、悪い習慣を克服するしかないと思います。

 

また習慣は、喜びなどの感情面にも大きく影響し、影響されます。以前取り上げた脳内報酬系が、その一つですよね。甘いものを食べて嬉しいと感じ、それを繰り返しているうちに、いつも甘いものと食べることが習慣になります。ただし、これは、いい報酬とはいえません。報酬としては、「成功」「達成」「勝利」による喜びがいいと思います。ただし、大きな「成功」「達成」「勝利」を得るには時間がかかりますので、日々の努力による変化は、とても小さいことでしょう。

 

例えば、「今日はジョギングをした」「夕食はヘルシーなものを食べた」「失敗したけど前向きに考えた」といったことは、それだけで体型や考え方がすぐ変わるわけではなくても、「よく頑張った。いい1日だった!」と気分がよくなるはずです。そしてその習慣を、少なくとも2から3カ月は続けてみて下さい。かかる時間に個人差はあっても、まず自分の中での変化が、そのうちに他人にも分かるほどの変化になりますよ。

 

●大西睦子

ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。