第二次大戦後の英米はその膨大な累積債務をいかにして再建したのでしょうか?「国家の累積債務をいかように解決してきたか?」については、世界にもさまざまな経験があります。超膨大な国家の累積債務問題への「具体的な解決法」としては、直近では、第二次世界大戦後の「戦後処理」などの「前例」があります。

 

第二次世界大戦後、世界各国がどのように累積債務の処理をしてきたかを眺めてみると、大きくわけて

①  ハイパーインフレで吸収する。

②  デフォルトで支払い不能に陥る。

③  増税する。

④  着実に成長する。

以上、四つの解決策がありました。

 

第二次世界大戦直後の日本の国家の累積債務は、対GDPではおよそ200%で、今現在の累積債務とほぼ変わりはありません。大戦直後の日本は焦土と化していたので、300%のインフレで国家債務を吸収しました。では、今は、どうしたらよいのでしょうか?戦後のアメリカとイギリスのケースが大変参考になります。

 

第二次世界大戦後、アメリカもイギリスも、実は同じ経験をしています。大戦で膨れ上がった戦費で、当時のアメリカもイギリスも膨大な政府累積債務を抱えていたのでした。アメリカは、第二次世界大戦後、平均すると3~4%の経済成長を続け、これに並行してマイルドなインフレをも巻き起こして、20年から30年かけて財政再建しています。そして、サブプライム危機後のアメリカも、バーナンキFRB議長を中心にして、第二次大戦後とほとんど同じ手法で財政再建を開始しています。

 

第二次世界大戦後のイギリスも、アメリカと同様に、成長とインフレで政府の累積債務を数十年かけて吸収しています。そして、サブプライム危機後のイギリスも、これとほとんど同じ手法で財政再建を開始しています。一方、アルゼンチンは成熟国家ではありません。アルゼンチンは、1930年にはデフォルトで政府累積債務を解決しました。さらにアルゼンチンは、80年代にもデフォルトとハイパーインフレで政府債務を吸収させました。21世紀の日本は成熟国家です。

 

日本のような成熟国家にとっては、デフォルトとハイパーインフレは選択しとしては存在し得ません。ですから、日本の場合も、アメリカやイギリスと同じように、3%~4%くらいの着実な成長と適度なインフレ(穏やかなインフレ)、さらには必要とあれば、この二つ(着実な成長と適度なインフレ)に、増税を組み合わせて、膨大な政府債務を吸収してゆくのが望ましいのです。21世紀の今こそ、「日本がそれをできるかどうか」が問われているのです。

 

もちろん、政府累積債務は循環器系の病気に酷似しています。血管が劣化しているために、わずかなショックで心臓疾患や脳血栓、脳こうそくになる可能性があります。それでも、私たちは勇気を出して行わなければならないのです。21世紀の成熟国家:日本の政府累積債務を、着実な成長(もちろん構造改革も含みます!と)と適度なインフレと、必要とあらば増税とを組み合わせて、向こう何十年かかっても吸収して、日本の財政再建を行わなければならないのです。