統計的に見ると、うつ病になりやすい職業というのは明確に存在します。厚生労働省等から職業別の詳細データは発表になっていませんが、精神科医やそれぞれの業界団体がまとめている資料等から、だいたいの状況が見えてきます。皆さんが仕事のイメージが湧くであろう身近なものに絞って、うつ病になりやすい職業を挙げておきます。

 

■学校の教師
どんな資料を見ても、ダントツNo.1であることは間違いないでしょう。文科省や教委が、なぜかこの数字だけは正直に(ほぼ実態に近く)公表しています。民間の企業よりも、休職や勤務変更等の希望を伝えやすいということもあるでしょう。

 

ちなみに、公立の小中学校の先生が圧倒的に多く、私学や高校の先生の割合は比較的少ないです。(塾の教師のデータは残念ながらありません)理由は、授業・クラスがうまくいかない、保護者(モンスターペアレント)が怖い(!?)という例が多く、教師間や校長とのトラブルによるものはあまり見聞きしません。

 

教師のうつ病が多いことへの対策が議論されている場で、ある国会議員の発言。「国会議員には、うつ病になるような心の弱い者はいません。学校の教師たちにももっと強くなってもらわんと」と。その後、専門家が、「うつ病になる方は、決して心が弱いのではありません。職務に忠実で、責任感の強い方が多いんです」と返していました。なるほど…

 

■コールセンターやお客様相談室の職員
簡単に言うと、クレーム担当係です。これも理解できますね。会社や部署によっては、1日中、苦情やクレームを受け続けていなくてはならないケースもあるそうです。仕事と割り切ってしまえばいいのでしょうが、最近は個人攻撃も多く、すぐに参ってしまう場合が多いそうです。


私が会社勤めをしていた時に、そういういわゆる苦情電話が私のデスクに置かれていたことがありました。幸いあまり鳴る機会は多くありませんでしたが、やはりその電話が鳴ると、一瞬ビクッとしました。実際、結構ハードなクレームを会社を代表して受けることもありましたが、これが毎日のように続いたら…と思うと、状況がよく理解できます。

 

■SE・プログラマー
最近、IT関連の仕事に就く人の数が増えてきていることもあると思いますが、うつ病の発症率も高いようです。理由は2つあります。

 

1つは長時間労働や夜中の仕事が常態化していること。私の知り合いのSEは、2~3日ほとんど徹夜というような状態は決して珍しくないと言っていました。若い人が多いと言っても、体力的に厳しいはずです。もう1つは、人と接する機会が少なく、パソコンに向かっている時間が長い(というか、ほとんどそればかり)ことです。日の光を浴びる機会が少ないとうつ病になりやすいというデータもあります。

 

■外食チェーン店の正社員
居酒屋やファミレス等です。店長や調理長がやられてしまうケースが多いです。

 

今外食産業では、低価格競争が激しくなっていますが、そのために人件費をカットされたり、残業代は一切支給されなかったりするケースが多いのです。特に、その店舗で社員が店長を含めて2人以下というケースが要注意です。休みたくても休めなかったり、休んでいても心配で気が休まらないのです。最近は、おかしな客(乱暴・理不尽なクレーム)が増えていることも一因だと言われています。

 

■自衛隊員
私たちを守るために、(ある場面では)命をかけて働いてくれているのですから、これも理解できます。普段の訓練の過酷さと、家族と会えない日が多いことは影響していると思います。警察官や消防官と較べても、うつ病が発症する割合は高いそうです。これについても、私は一般社会の人々と接する(話をしたりとか…)機会があるかどうかの差が大きいと思います。

 

■自営業・零細企業の代表・社長
この不況の中で、資金繰りの苦労や、会社が明日にもどうなるか分からないというプレッシャーはなかなかのものだと思います。気をつけようっと… ちなみに、大企業のトップにはほとんどいないそうです。まあ、そういう人でないと社長の椅子レースに勝ち抜けないのでしょうけど。

 

まとめると、感情労働の職種に多いこと、長時間労働と強いプレッシャーが重なると危険なこと、人間関係がうまくいかないことが発症のきっかけとなるケースが多いが、逆に人と接する機会が少ないのも問題であること。というような感じでしょうか。いずれにしても、人ごとだと考えずに、知識をきちんと持っておくことはとても重要だと思います。

 

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