昨日(11/20)に東京証券取引所グループと大阪証券取引所の合併に関する臨時株主総会を開き、「日本取引所グループ」を来年1/1から正式発足することを決めました。

 

そこで、普段からキャピタルマーケットに関わる筆者として、この話について若干の雑談コメントをさせて頂きます。

 

いずれにしても、この統合自体は、日本の証券/株式市場活性化において非常に意味のあることでしょうから、是非とも進めて欲しいところ。

 

ちなみに、この合併に関する東証リリースには、合併比率に関するFAの算定結果(サマリー)が乗っているから、先日の大証TOB時の合併比率の考え方と比較できて参考になります。また、各FAによって、比較対象とする類似会社(本件では、海外の総合取引所)の選び方、DCF法における割引率や成長率の考え方がそれぞれ異なるので、その点も参考になります。

 

そして、この比率算定プロセスをよく観察することで、いったい東証の将来価値が幾らになるのか、DCF手法の結果を逆算して再確認することも出来そうです。筆者的には、バリュエーションをしっかり学びたい者にとって、本件合併に関わる比率算定の考え方を(勝手)検証することは、凄く勉強になると思います。なので、興味がある方は是非ともチャレンジしてみるべきでしょう。

 

少なくとも、一流とよばれる投資銀行がそれなりに気合いを入れて算定しているでしょうから、そのプロの味付けに違いを見いだすのは、筆者としてもかなり興味深いです。

 

それから漠然と思っていた両者合併による新会社の上場プロセスについても、リリースを見て「なるほど」と思いました。すなわち、東証の上場っていわゆる「裏口上場」(Back-door listing)に当るのでは?というもの。普段、東証自身がこの件について口酸っぱく監視している立場ですから、本件合併における対応はどんなものかと思っていたら、下記のコメントがリリース文に付されていました。

 

上場廃止となる見込み及びその事由
本合併により、大証の普通株式は、大阪証券取引所JASDAQ市場(スタンダード)(以下「JASDAQスタンダード」といいます。)における上場廃止基準に基づき、合併等による実質的存続性の喪失に係る猶予期間入り銘柄となる可能性があります。なお、両社は、本統合契約において、統合持株会社の普通株式を(i)本経営統合の完了日又はその後速やかに東京証券取引所市場第一部へ上場させること、及び(ii)(i)の上場と同時又はその後速やかにJASDAQスタンダードから大阪証券取引所市場第一部へ市場変更させることを目指す旨を合意しておりますが、本合併後、統合持株会社は東京証券取引所市場第一部と大阪証券取引所市場第一部を平成25年7月を目途に統合する方針となったため、統合持株会社は、上記(ii)の統合持株会社の普通株式を(i)の上場と同時又はその後速やかに大阪証券取引所市場第一部へ市場変更させることは実施せずに、JASDAQスタンダードの上場を維持する予定です。
 

とはいえ、(猶予期間入りに係る)上場審査を誰が行うかは未だに気になるところ。恐らく自己審査なんでしょうね(全く問題ないとは思いますが。。。)。

 

とにかく、なぜ日本の株式市場だけ株価水準が回復しないのか(その他市場はリーマン前の水準に達しているにも拘わらず)は、筆者の個人的感覚として納得いかない部分もかなりあります。なので、この合併を機に、巨大な時価総額を武器に海外の近隣取引所なんかもM&Aを行い、アジアの雄としてその存在感をしっかり発揮してもらいたいと願っています。