最近、ファストフードや加工食品の摂取が増えて、不足しがちなビタミンやミネラルなどの栄養補給を補充する目的で、サプリメントの需要が増えています。米国成人の少なくとも3分の1はサプリメントを摂取していて、日本でも摂取量が増えています。こうして「健康食品」と認識されがちなサプリメントですが、過剰摂取による健康への害や副作用などの問題もあります。

 

 ただ、マルチビタミン剤(総合ビタミン剤)の投与とがんの発症や死亡率の関係について、長期にわたる観察研究の報告はこれまでありませんでした。それが先週、「長期間にわたって毎日マルチビタミン剤の服用を続けると、がんの発症が少し減る」ことを、ハーバード大学の研究者らがJAMA(米国医師会雑誌)上で報告しました。

 

Multivitamins in the Prevention of Cancer in Men: The Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial.
1.Gaziano J, Sesso HD, Christen WG, et al.
JAMA, 2012; DOI: 10.1001/jama.2012.14641

 

 試験開始時に50歳以上の米国男性医師14,641人を対象に、Physicians' Health Study (PHS)Ⅱと呼ばれる大規模な無作為二重盲検試験※1による追跡調査が行われました。この試験は、がんや心血管疾患、眼科疾患の予防と認知機能に対するビタミン剤のリスク(危険)とベネフィット(利益)のバランスを評価するために行われたものです。対象者は、1997年から2011年6月1日までの約11年間、ビタミン剤かプラセボ※1のいずれかを投与され、メラノーマ※2以外の皮膚がんを除いた全がん発症と、さらに前立腺がんや大腸がんなど個々のがんの発症について解析されました。投与されたビタミン剤は、以下の通りです。

 

・マルチビタミン(商品名Centrum Silver;ビタミンA, B6, B12, D, カルシウム, ルテイン、リコピンを含有)を毎日
・ビタミンE(400 IU)を隔日
・ビタミンC(500 mg)を毎日
・ベータカロチン(50 mg)を隔日

 

 なお、上記のうちベータカロチンは2003年に投与が中止され、ビタミンCとEは2007年8月1日に計画通り投与が終了しましたが、がんや心血管疾患との関連性は認められませんでした。