万里の長城のある山へのツアーで、日本人のかたが亡くなられたそうです。

お亡くなりになった方々におきましては、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

登山ツアーによる死亡事故といえば、北海道の登山関係者のあいだでもいまだにトラウマのように記憶に刻まれている、2009年のトムラウシ山遭難事故を思い出してしまうのですが。

今回のニュースを聴いてびっくりしたのは、そのときツアーを企画した会社が、今回の万里の長城周辺の登山ツアーも企画していたとのこと。

しかも、ニュースを読む限り、今回も正社員によるコースの下見などせず、北京にある旅行会社にいわば丸投げするかたちでツアー内容を決めていたようです。

 

これ知ったとき、正直言って、「トムラウシであんないいかげんなマネージメントして、あんなに犠牲者を出した旅行会社がまだ存続できていて、しかも似たような仕事してたんだ・・・・・・・」って思ってしまったのです。

トムラウシの教訓をまったく生かしてないじゃないか・・・・・・・もう、怒れるやら呆れるやら、です。

 

ボクが思い入れのあるアフリカ関係でも、登山とか、いわゆるアウトドアやアドベンチャー系のツアーを企画してる日本の会社はあります。

じゃあそのツアーが本当に信頼できるレベルのものなのか?
これってなかなか判断しにくいと思います。

 

ボクなりに基準を考えてみると

1.できれば現地滞在の日本人プロガイドが同行する。

2.現地で同行するガイドがそのコースに精通しているのは当たり前。
(トムラウシ事故ではそれすら守られてなかった)
日本での営業スタッフにもできれば経験者がいて、難易度も含めくわしい内容説明ができる。
もしくは現地スタッフがネット上でくわしい情報を公開していて、ネット上で質問もできる。
(欧米系のアドベンチャー系ツアー会社はこのへんしっかりしてるとこ多いです)

3.アドベンチャー系ツアーに「悪天候により中止」はつきもの。
その際、料金一部返納や代替イベントなどのフォローが提示できる。
つまり、悪天候→中止となったときのシュミレーションがちゃんとできている。

・・・・・こんなところでしょうかね。

 

ところで、最近の登山事故と言えばもうひとつ、忘れ得ぬ事件があります。

2012年5月5日、つまりゴールデンウィーク中に起きた
長野県・北アルプスの小蓮華山(これんげさん)での遭難死亡事故です。

亡くなられた方の中に75歳の医師の方もいらっしゃったとのことで、ボクとはまったく面識のない先生なのですが、完全に他人事とも思えなかったのを覚えています。

ボクもスキーはじめアウトドアを愛してやまない医者で、しかもアウトドア活動中に場合によっては命に関わるようなトラブルにあったこともないとは言えないのです。

ちょっとくわしいことはいま言えないですが(汗)・・・・・・

 

この事故が起こったとき、リンク先とかもそうなんですが、多くのメディアは「犠牲者たちはTシャツにジャンパーなどの軽装だった」と、あたかも何も知らない登山の素人が無謀に決行したかのような印象を受け手に誘導しました。

 

でも、その後ちゃんと調べてから伝えるメディアや、関係者の証言で、この亡くなられた医師のかたをはじめ、メンバーの多くは登山のベテランであったこと、遭難発見時の服装は確かに軽装であったが、リュックの中には冬山対応の防寒具が入っていたこと、またビバーク(緊急の野営)用の小型テントさえ入っていたこと、まさにリュックを開けて防寒具などを取り出そうとしているときに力尽きたような状況で発見された、などが伝えられるようになりました。

 

例によってネット上では事故後「また山を知らない素人が無謀なことしやがって」みたいな論調であふれかえっていたので、後からそういったことを知って、ちょっと一部のメディアに腹が立ったりもしました。

 

逆にいえば、それだけベテランの人たちがある程度暖かくなっている5月にそれだけの装備の準備をしていっても、山での低体温症による凍死は起こりえるってことなのです。

これには山での急激な天候変化も関係しているようで、小蓮華山(これんげさん)の件では、「疑似好天」というのが起こっていたようです。

NHKさんがニュース報道をがんばってまとめてくれています。

 

ボクももっと勉強してから、疑似好天はじめ山の天候について書いてみようかと思ってます。

ボク自身はは低体温症というものになったことがないので、確実な体験談を書けないのをご了解いただきたいのですが、おそらく「手がかじかんで動かなくなった」というのが、体全体で起こるのではないか?とすら思えます。

 

その状況を想像するに(あくまで想像です)

「あ、いきなり吹雪になって寒くなってきた・・・震えが止まらなくなってきたぞ。防寒具を着なければ・・・・・あれ、なんか手が凍えて動かなくなってきた?急いだほうがいいのかな?はやくリュックを下ろして防寒具出さないと・・・・他のみんなも動きが鈍くなってきてるみたいだ。
急がないといけないんだが・・・・なんか体が重い。動けない・・・・・(この後急速に意識レベルが低下)」といった感じでほんとに急速に意識消失まで進行してしまう可能性があるのです。

 

軽度から重度への低体温症の進行といったものがこれほど急速であれば、山のベテランといえども一度その罠にかかってしまえば、抜け出すのは極めて困難でしょう。

正直言っておそろしいです。

ではこういった状況を防ぐにはどうしたらいいんでしょうか。

そもそも登山なんかするなよ、特に冬は!!と言われたら身もフタもないのですが。

 

実際ボクはこういったことがこわいので、スキーヤーなんですが冬山に登る山スキーは全然やってないです。
正直、安全性に関してまだまだ自信が持てないんですね。

ただボクが思うに、多くの人間には未知の場所、困難な場所にあえて赴(おもむ)こうとする本能みたいなのが刷り込まれていて、それを否定するなら「宇宙なんて危険きわまりない場所なんて行くなよ」みたいな話にまでなってしまいます。

 

そこまで言ってしまうとじゃあそもそも他の動物とは違う人間の存在意義って何よ?みたいな話にまでなるので、悩ましいところです。

ただ、一般的な低体温症対策(これに関しても後日書いてみたいです)と、無理を感じたらすぐ引き返す勇気を持つことが大事なんじゃないかと。

あらためて、思うところがあって山に挑み、心ならずも山で命果ててしまった方々に心からご冥福をお祈り申し上げます。