フランス料理。

繊細で美しく、奥深い味わい。

ゆったりと流れる、至福のひとときに、大人の満足感を得ることができる。

 

だが、そのひとときに、心の奥底から大満足する人はごく僅か。

お店を出てしばらくすると、「なんだかお腹が空いた」「お茶漬け食べたい」と思ってしまう人が多い。

ほとんどの日本人は、中流階級より下のごくごく庶民。

フランス料理に、本当の満足感を得る人は少ない。

 

確かに美味しい。素晴らしい経験。
人に自慢したい思いもある。

なのに、「めちゃくちゃ美味しかった。また行こう!」と、ならないのはなぜか?

「旨い!」と、大きな声は出せない。

「これ食べてみて!」と、同伴者に勧めづらい。

気取らなければいけなので、ガツガツ食べられない。

「この前さぁ~」と、俗っぽい話もしづらく、大笑いすることもできない。

つまり、食事の席で楽しい会話ができないのである。

 

フランス料理店が持つ、格式や高級な雰囲気に、客は呑み込まれてしまう。

 

美味しい料理を眼の前にしても、“さぁ、喰うぞ!”と、純粋に楽しむこともできない。

料理がどれだけ美味しくとも、リラックスできない場所では、満足感を得られない。

 

この非常に高い敷居を大きく下げた店が、いま注目されている。

 

『俺のフレンチ』。

 

一流シェフによる本格フレンチを立ち喰いで提供する店である。

 

料理は一切手抜きをしないが、サービスのカタチを変えることで、経費を削り、気軽に食べられる価格に抑えている。

立ち喰いにすることで、高級店のような店舗・内装も不要となり、客の回転率も高くなる。

一番の違いは、店の雰囲気である。
まるで、洋風居酒屋。

とにかく、おしゃべりしやすく、客が楽しめる。

 

しかも、料理は一流。

会話が弾むのも当然である。

同じものを食べていても、そこに楽しい会話があるだけで、満足感がまったく違ってくる。

これが、食事の楽しさ。

 

そこを衝いてきた、『俺のフレンチ』は、見事と言うしかない。

ブック・オフの創業者が始めた新事業だが、やはり、ビジネスの視点が違う。

 

世の中には、「敷居を低くすれば伸びる」市場は、まだまだ存在する。

そこに、大きな可能性が眠っている。