「なぜ塾業界は早期離職者が多いのか?その1」はこちら

 

3つ目の理由は(私はこれが一番顕著だと感じているのですが)、いわゆる「青い鳥症候群」や「モラトリアム」タイプの若者が多いことです。今の社会全体としてそういう傾向にあるのかもしれませんが、特にこの業界にはそういう若者の割合が高いと感じています。

 

皆さんは「チルチルミチル」のお話を知っているでしょうか? 貧しい兄妹が、見つけたら幸せになれるという青い鳥を求めて様々な国を冒険しますが、どこにも青い鳥は見つかりません。すっかり疲れ果てて家にもどったら、実は青い鳥は家にいたというお話です。「今、足元にある幸せには気付きにくい」という例え話に使われます。「隣の芝生は青く見える」という格言もありますね。もっとやりがいがあって、待遇も良くて(楽な)、自分に合った仕事があるに違いない。自分のやりたいことはこんなことじゃない。と常に考えながら仕事をしているように見えます。(自分で選んだ仕事なのに…)

 

そんなわけで、若いうちに同じ業界・違う業界含めて、転職を繰り返す者も多いのです。私は、今目の前のことに一生懸命できない者は、どこに行ってもダメだと考えています。確かに自分に合う仕事、合わない仕事というのはあると思いますが、少なくとも(下積み生活も含めて)3年間頑張れないのであれば、どこに行っても、「この仕事は自分に合わない」と感じてしまうのではないでしょうか。

 

「モラトリアム」というのは、教育心理学の用語ですが、社会に出る前の「猶予期間」を指します。大学生に対して使われることが多く、自分探しをずっとしているために、社会に出ること、責任ある仕事をすることの踏ん切りがつかない状態を言います。この業界の若い連中を見ていると、正社員として就職したのにずっと「モラトリアム状態」を続けている者が多いことに気づきます。「すべて他人事」「誰かがやってくれるだろう」「自分の好きななことは一生懸命やるけど嫌なことはやらない」「言われたことはやりますけど…」「プレッシャーがかかる場面は極力避ける」「ごく限られた少人数の仲間としか打ち解けない」「でも1人で行動することは不安」というような特徴があります。

 

それに加えて、ここ数年の特徴として、「出世したくない」「給料は上がらなくてもいいからのんびり仕事したい」「自分の休みが最優先」、そして「会社がどうしてもと言うなら辞める」という者の割合が増えているように感じています。おそらく、他の業界でも、おじさん世代は同じようなことを感じている方が多いのではないでしょうか。

 

誤解をされるといけないので明記しておきますが、新卒1~2年目から高い意識を持って仕事をしていて、塾の大事な戦力になっている者もたくさんいます。本当に子どもたちのことが好きで、苦労を厭わず面倒を見たり、自ら塾の(会社の)役に立てることを探して仕事に取り組んだりして、下手なベテランたちよりいい仕事をしている者も少なくありません。塾の教師は、若いというだけで(対生徒の面では)大きな武器ですから、私などは羨ましく感じる場面もあります。今回は、厚生労働省の発表したデータについて、あくまでも全体の傾向として分析したまでだということをご理解いただけると幸いです。

 

しかし、今後の塾業界のことを考えると、(特に大手塾は)若い力を戦力化できたところが生き残っていくことは間違いないと思います。私は現在、様々な塾の若い教師たちの研修にも携わっています。自分の経験を伝えることにより、この業界に少しでも恩返しができればいいなぁと考えています。塾教師の仕事の喜び・充実感・奥深さ等を伝えることにより、結果として、短期間で辞めてしまうような職員を少しでも減らせたら嬉しいですね。