電機メーカーを中心に、数万人の人が企業からリストラされています。今後、日本経済が悪化の一途を辿ることになりますと、ますますリストラされる人は増えることが予想されます。リストラされた人の大半は、新たな転職先を探しています。ただ、40代以上になりますと、簡単には転職先の会社が見つからないのが現実です。

 

30年以上に渡って大手小売会社に勤めていたSさんも、昨年末にいきなり退職を勧められ、今年4月には希望退職というカタチで会社を辞めました。50代のSさんは、まったく会社を辞めることは考えていなかったといいます。他の人には会社から退職勧奨があっても、自分だけにはないと信じていたようです。

 

ところが、いきなり幹部から退職を勧められ、頭が真っ白くなって、何も考えることなく応じたといいます。退職後のビジネスに関してはまったく考えていなかったので、わたしのところに相談に来たときは転職は無理、起業のアイデアゼロでした。そこから、フランチャイズ加盟や昔の同僚の伝を頼ったビジネスなど、特急便でのビジネス探しに着手です。

 

4カ月近く自分に現実的なビジネス探しで奔走、30件以上の開業候補に当たってみて、Sさんが始めたのはショッピングセンター内での喫茶店です。これまで開業していた店舗からの居抜きでしたから、初期投資もとても少ない金額で開業ができました。以前の店舗の集客状態も知っていましたし、撤退の理由も知ったうえでの開業です。

 

Sさんの喫茶店は、開業以来黒字経営です。コーヒー一杯の料金が高い喫茶店は、ドトールやスタバが一般的になったここ20年ほど、衰退の一途を辿っていました。ただ、時代の流れが変わってきていて、セルフに代わるフルサービス式の喫茶店にお客さんが戻っています。郊外型大型喫茶店が、東京郊外では流行っています。

 

Sさんの開業からわたしが学んだのは、やはり開業する人の熱意です。頭を切り替えて、以前の肩書きを捨て、見栄も捨てて、全力で新たな世界に向かっていく熱意に、周辺が手助けする気持ちになったようです。今後、景気は悪くなりそうですし、失業する人は増えそうです。人と同じことをしてては、開業は難しいです。

 

【一言】
喫茶店経営は、高度成長期には退職したご夫婦が、仕事と時間つぶしを兼ねたビジネスとしてたいへん流行りました。ただ、セルフサービスのコーヒーショップの台頭によって、ほとんどが街から姿を消しています。今、退職した中高年の憩いの場がなくなっていますから、喫茶店が再び注目されています。ただ、時代に合わせた何かしらの仕組みを考えないと、長続きは難しい時代でもあります。