この建築という商売の人というのは実はつぶしがききません。

建築をやっていた人というのは、それが建築士だろうと大工だろうと設備屋だろうと、やめてもやはり次も建築の仕事に就きます。

 たいていは、他の職種に就こうなどとは考えもしません。脱サラしてラーメン屋を始めた建築士とか、転職して工場に勤め始めた大工なんて見たことも聞いたこともありません。

 

出来ない?

やりたくない?

 のかはわかりませんが。

 

好きだから・・

長年やってきた腕に覚えがある・・

 なんてことなのでしょうか?

 

少なくとも、私やうちの所員はここをやめても、たぶんやっぱりどこかで建築設計の仕事につくことでしょう。

 それ以外は考えられません。今、世の中はどんどん不景気を加速しています。

 

建築業界などはその最たる物です。

 住宅着工件数などを見ましても、

 平成元年にはおよそ、1,672,000戸/年。

 

年々減り続け・・

 昨年の平成23年は、841,000戸/年。

 半減しています。

 

住宅以外の非居住建物などもっとひどい。

 平成元年にはおよそ、205,000棟/年。

 

年々減り続け、

 昨年の平成23年は、67,000棟/年。

 1/3です。

 

どんどん仕事がなくなっています。

 よって、今、この不景気で建築士や大工さんは飽和状態であまっています。

 

これからも大きな景気の回復などは望めないでしょうから、さらにどんどんあまってくるのでしょう。

 が、大学はどんどん作られます。

 4年制の大学数は平成元年には500ほどだったものが今や760校ほどにも増えているのだそうです。

 その中の理数系の理学部工学部芸術学部には例外なく建築土木環境系の学科があります。

 大学にしてみたら人気のある学部を作らないと学生が集まらない。

 逆に言えば人気のない学部など作るくらいならそんな大学は作ってもしょうがない。

 どんどん倍増した建築系学生が社会に送り込まれているわけです。

 

仕事はありません、減るばかりです。

 会社は次々に倒産しています。

 

昨今はどこそこが倒産したなどと聞いてもまったく驚かなくなりました。

 国内における建築の総量に対するそれを仕事にする会社などの数が多すぎるから。

 淘汰によってその調整がされているのでしょう。

 にもかかわらず、人の数は無視され続けています。

 

そういう必要とされる人の総量の調整というのは、大学に入る人の数や卒業する人の数や資格試験の合格率の調整、以外にはないのではないのではないでしょうか?

 

だって、やめないのです、建築を志す者は。

 一生、建築の世界からは離れない。

 数が増えれば仕事を食い合うだけ。

 ならば、その世界に入る人の数を調整する以外はありません。

 特別に興味もないような人は建築に来てもらっても行く所などないのですから。

 

学生数は加速度的に増えているはずなのですが。

 実は、一級建築士の合格者数・合格率というのは過去も現在もあまり変わってはいません。

 受験者数は例の姉歯事件以降、経歴審査が厳しくなったために減っていますが、それも変です、むしろ増えているか同じでなければ。

 なぜなのでしょう?

 

一つには学生の質が落ちていること。

 そして、それは、大学を卒業しても一級建築士を受験できる会社には学生が入れていないことにほかなりません。

 介護福祉や医療や農林水産業などは人が足りなくてしょうがない、などと聞きます。

 が、農学部や福祉系学部は増えないようです。

行き所のない学士をそんなに作ってどうするのでしょう?

 政治や行政はいったい何をやっているのでしょう?