中国河北省の万里の長城に、トレッキング目的で 訪れていた日本人観光客4人が大雪で遭難し、うち3人の方が亡くなりました。このツアーを企画したのは、アミューズトラベルと言う東京の登山ツアー専門の 会社です。この会社の企画では、09年にも北海道・トムラウシ山での遭難事故で8人のツアー客が亡くなっています。

 

  通常、このような多くの死者をだした中小旅行会社の場合、その後ツアー客が集まらないため倒産や廃業に追い込まれます。アミューズは、この事故で旅行業法 違反を問われ、51日間の業務停止命令を受けました。ただその後は、廃業することもなく営業を続けています。わたしは、この会社の集客力の強さに関心をも ちました。

 

 アミューズは、1991年の設立時から登山専門の旅行会社です。現代は、中高年の人たちに登山愛好者が増えていることで、ア ミューズの企画するツアーにお客さんが集まります。トムラウシの遭難事故でも、今回の万里の長城の事故で、一般観光客が遭難した場合は大問題ですが、登山 をしていて遭難した場合は問題が別です。

 

 登山をする女性がとても増えていますが、山に登る回数が増えるにしたがって、次第に難しい山に 登りたくなります。また、国内の山を登り続けますと、次は外国の山と言うことにもなります。登山ツアーを専門に企画している会社が少ない事情もあり、ア ミューズは過去に大きな遭難事故を起こしても、お客さんを集めることができました。

 

 ここで大事なことはリスクを取れることです。今の日 本企業は、どの業界でもリスクの取れる会社が減っています。アミューズにしてもそんなに法外に儲けているわけはありません。今回のツアーは、4人の参加者 で10月29日から7泊8日間の行程で、一人約30万円と言われています。1人のガイドが付きますから、そんなに利益の上がるビジネスではありません。

 

  もう一つ、アミューズの強みは、お客さん年齢が60代から70代の、お金に余裕のある人たちの登山ツアーをしている点です。1400兆円のわが国個人金融 資産のうち、60代以上の人が6割を所有しています。この年齢層の人をお客さんとしていることで、事故にも負けずビジネスを続けてきました。今後存続は厳 しいと思いますが、どうなるか注目しています。

 

【一言】
 リスクを取るとか、中高年層をターゲットにするなど、口で言うのは簡単 ですが、実際にビジネスとして実現するのはたいへんです。若いお客さんと違って、中高年の人はビジネスの積み重ねが尊重されます。そのためには、中高年の 人が経営する会社の方が、お客さんにはなってくれます。