今回はプレオープンしたAll About NewsDigの「クローズアップDig」コーナーのお題、「ブランド米」についてでございます。
まず、NHKさまの番組、「サキどり」から。
くわしくはリンク先を読んで頂ければ幸いです。
要するにボクが住んでる北海道の「ゆめぴりか」など全国にブランド米が続々誕生してるって話なんですけど、この記事でなにが一番衝撃的かって、最後にある農業ジャーナリスト青山浩子さんのコメントですよ。
貼らせて頂きます。
~”これだけ新しい品種が出てくるのは、答えはとても簡単で「売れないから」です。つくっても余ってしまうわけですね。今、日本の水田は米が余るので40%、休んでるんです。それでも消費量の減少の幅のほうが大きいので、生産調整が追いついていないんですね。でも、何もしないと売れない、価格が下がる、売れ残るという状態なので、各産地が競争し合って、新しい品種を、新しいブランドを売り出そうということが、ブランド米・戦国時代の背景にあります”~
う~ん・・・・・・・・
そーか、そんなに水田って余っちゃってる状況なんだ・・・・・
ここで、ボクが思ってることをあれこれ。
まず、ブランド米なんていうと、通常のお米よりおいしいイメージがふくらみますよね?
じゃあお米のおいしさを決めるものって一体何なんでしょう?
おいしさを構成する栄養成分を分析してウンヌン・・・なんて考えはじめると到底ボクの届かない世界に行っちゃうので、あくまでボクの守備範囲で個人的な意見を書きますね。
まずお米、とくに日本のお米に特有な「粘り(ねばり)」具合。
これ、おいしさっていうより食感に属する問題かもしれませんが、日本人は品種的にモチ米と掛け合わせたような粘っこいお米を好む傾向が強いって言われてます。
一方でタイやインドなど世界の他の稲作地帯では、もっとパサパサしたお米のほうが好かれてます。
結局どっちもウマいっちゃウマいんですが、毎日食べる=主食としてのお米、と考えると「そんなにネバネバしたしつこい感じのものを毎日主食として食べられるかあ!?むしろ適度にパサパサしたお米のほうが主食としてはいいんじゃない?」っていう考えも出てくると思うんですね。
過度なまでの「粘り・モチモチ信仰」が「若者のお米離れ(これ何年前から言われてんだろう?もうみんな年寄りになっちゃうよ・・・)」を促進させてしまったのかも、です。
あと、お米の品種がどうこう言うより、米粒のひとつひとつにどれだけ美味しい成分を入れられるか、というのが重要なんじゃないかと思ってます。
まず、玄米とか胚芽米って、食べ慣れたら白米なんて比べものにならないぐらい美味しく感じられたりするんですが、そういった食べかたがより一般化してくれば、よりお米を愛してくれる人が増えてくれるんじゃないかと。
あと白米部分をふくめて、よりおいしくするための方法として「稲穂が枯れるまで脱穀しない」というのがあります。
脱穀というのは、米粒が入った籾殻(もみがら)を稲穂の茎から外す作業のことです。
ボクの経験とか、ベテラン農家さんの意見では、このようにして稲穂全体の栄養が、次の世代のために良い種子をつくるため米粒に集まってくるまで待っといたほうがよいのです。
ボクが自分で米を作るときは、刈った稲穂を縛って天日干しする「はさ掛け」という伝統的な手法をとります。
これをやるとやらないとではかなりウマさ、というかお米のコクに違いが出てくるな~と考えているのですが、悲しいかな農協さんとかがやってる現代稲作農業ではコンバインという機械で刈って即脱穀、そして遠赤外線とかで熱処理してあっという間に米粒にまで加工していることがほとんどなんですね。
稲刈りの段階では、稲穂は枯れた状態ではないことが多いので、これは残念なことだし、ブランド米といってもこの問題はついて回るんですね。
そういう意味では、稲穂をなんとスキーリフトに乗せて乾燥させる「天空米」なんて、よくわかってるよね~、なんて思ったりします。
(あくまで参考までに。ボクは食べたことないので味はわかりません)
そして、その他いろんな方法でお米に付加価値があると人はおいしく感じる、または買いたくなったり食べたくなったりする、ということがあります。
最近とくに付加価値で高く売れたお米は「初音ミク米」とか「萌え米」だそうですが・・・・・
トホホ・・・・・・・
でも!!究極の付加価値って、それは「自分で作ったものを食べる」ということなのです!!
あ~やっと自作米の話までこぎつけた!!
ちなみにボクも自分で米づくりしてて、ボクのブログの主要テーマのひとつにいつの間にかなってしまってます。
ちなみにボクが水田で米づくりできてるのは、長沼という地域の農家さんが使われてない水田を自然農業を志す知人に貸してくれることになって、ぼくがそのまた知人だったために、たまたまその水田の一角を貸してもらえるようになったのがきっかけでした。
思えばラッキーだったんですね。
都市で暮らす一般の方には、なかなかそういうご縁も時間も得られないと思います。
農協とか農家さん側が市民水田みたいに開放するとかしてくれないと、コネがない状況で自分だけで既存の水田を使おうとすると、農協との話し合いとか、かなり高くてうっとうしいハードルが待ち構えていて、結局無理なことが多いんですね。
あれほど耕作放棄地が多いだの農家のなり手が少ないだの言ってるくせに・・・・・・
ぶっちゃけ、日本農業界のイヤなところです。
そこで、あくまで自分たちの暮らす都市のど真ん中で、できれば無農薬とかで米作りができないものか、って考えが出てくると思うんですが。
実はビルの屋上などで米づくりをする、というのはいろんなところで試みられているようです。
そのひとつが老舗酒造会社の白鶴が銀座の本社ビルの屋上でやってる「白鶴銀座天空農園」です。
大したもんですね・・・・・・画像見てホント感心しました。
ビルの屋上だと天然の太陽光を利用できるのですが、もっとインドアな発想、いわゆる「植物工場」的に米づくりができないものか、という発想も出てきます。
これもすでに研究がはじまっているようで、東大関連らしいNPO法人「SKIL(科学知総合研究所)」が行なっている「イネ工場プロジェクト」などがそうです。
将来は宇宙基地とかスペースコロニーでも米づくりができることを目標として・・・・・なんて、われらガンダム世代が聞いたら脊髄反射で燃えまくるようなこと考えてくれてるじゃないですか!!
もちろん、このようにしてお米がつくれるようになったとしても、そのお米自体が市場に大量に出回ることは考えにくいです。
ただでさえお米が安くなって、作り手にとっては安すぎて困る状況のなか、そんなに作るためのコストをかけられないからです。
ただ、こういった方法論が進化を続けて、いま多くの人が「家庭菜園」とか「家庭向け野菜工場」とかで野菜を自作して食べているように、米も多くの人が自作できるようになれば・・・なんて考えると心ときめくものがあります。
もし本当にそのようにして都市で生活する個人や家族、コミュニティーが、技術の力で食料を完全に自給自足できるようになったら・・・・・・
それはいままでの都市と田舎といったような社会構造をひっくり返しかねないものになるのでは?なんて夢想してしまいます。
ボクは伝統的な米づくりが大好きなのと同時に、こういった現代農業技術の先端に触れるのも大好きなのです。
よ~し、ボクも重い腰を上げて、この冬からついに家庭向け野菜工場に取り組んでみるか・・・・・・
あっ、また向こう見ずな宣言しちゃった!!
そんなわけで長い拙文を読んで頂き、本当にありがとうございました。