13日からペプシ・コーラのトクホ版『ペプシスペシャル』が発売になりました。

 

トクホ・コーラといえば、今春に発売されたキリンビバレッジのメッツコーラが先駆者として市場を開拓してきました。

 

メッツコーラは、発売と同時に“コーラ=不健康”というイメージを覆し、これまでコカ・コーラとペプシ・コーラ以外は絶対に無理だという1億本の売上を達成。今でも爆発的なヒットを記録し続けています。

 

なぜ、メッツコーラはコカ・コーラとペプシ・コーラという2強が牛耳るコーラ市場で爆発的なヒットを記録できたのでしょうか?

 

その背景にはブルーオーシャン戦略があるといっても過言ではないでしょう。

 

キム教授とモボルニュ教授によれば、ブルーオーシャンに至るパスには6つあるとのことですが、キリンメッツコーラはそのうち“感性志向を機能志向に切り替えて”成功を収めたといえます。

 

本来、コーラは飲むことによって気分をリフレッシュしたいという感性志向のプロダクトです。この感性志向では、「おいしい」や「スカッとする」という感情的な要素が重要視されます。

 

キリンメッツコーラは、コーラ市場で既に確立されている感性的な要素で戦うのではなく、脂肪を吸収しにくいという機能面を強調して、これまでコーラを飲みたくても控えていた非顧客層の需要を取り込むことに成功したのです。

 

たとえば、感性志向のコーラが棚に並ぶ中で一つだけ健康によいとされる機能志向のトクホ・コーラが並んでいればどれを選ぶでしょうか?

 

恐らく健康に気を遣う30代や40代の男性にとっては、値段がほとんど変わらなければ脂肪の吸収を抑えるトクホ・コーラを手にする確率は高まるはずです。最近ではカロリーゼロを謳う飲料がヒットするなど健康を気にする消費者が増えていることを考えれば、「ゼロの次はトクホ」と、より健康によい製品を選ぶことは自然の流れと捉えることができます。

 

まさにこのようなストーリーで、キリンメッツコーラは飲料の機能性を強化してブルーオーシャンを築いてきたのです。

 

ただ残念ながらキリンメッツコーラに使用されている成分は自社独自で開発しているものではなく、日本では松谷化学工業という一社が製造するどの飲料メーカーでも入手可能なものです。この観点から、参入障壁を長く築くことは難しいと言わざるを得ません。

 

そこで強者のサントリーが、キリンが開拓したブルーオーシャンに参入して、新たに切り開かれた市場を奪おうと争いを挑んできたのです。

 

競争戦略においては、弱者は“差別化”を、そして強者はその差別化に対して“同質化”を図ることが鉄則です。サントリーは飲料業界ではリーダーではありませんが、業界第二位としてキリンよりも強力な力を誇ります。果たしてキリンが切り開いたトクホ・コーラというブルーオーシャンはわずか7か月でレッドオーシャンに変わってしまうのか? 先駆者として市場をリードしてきたキリンは強大なチャレンジャーの出現にどのような戦略で対抗するのか?

 

今後のキリンメッツコーラの売上動向と対抗策に注目が集まります。

 

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◎ブルーオーシャン戦略について
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競争の無い市場を切り開くブルーオーシャン戦略をもっと知りたい方は次の書籍をお読みになることをお薦めします!

ブルー・オーシャン戦略を読む (日経文庫)

INSEADでキム教授とモボルニュ教授に師事した日本のブルーオシャン戦略の第一人者による解説です。