日本マクドナルドホールディングスは11月1日、2012年1~9月期の決算発表を行いました。

 

発表によれば、売上高は1%減の2,207億円。連結経常利益は、7期ぶりの減益となる前年同期比16%減の178億円となりました。

経営が原田社長にバトンタッチされてから快進撃を続けてきたマクドナルドも、厳しいビジネス環境の悪化に伴い、遂に減速局面を迎えたのでしょうか。

 

原田社長は日経新聞社のインタビューに答え、今年春以降に顧客の動きを少し見誤ったことを認めています。

 

昨年は震災に伴う節電の影響で外出機会が極端に減って外食産業は大きな痛手を被りましたが、今年はそのような影響もなく4月以降は売上が伸びると予想していました。

 

ところが、予想に反して回復力は弱く、受注予測を大きく外して経費が嵩んでしまったのです。

マクドナルドに限らず、特に最近の顧客は飽きが速く、ニーズを捉えることは至難の業となっています。

 

他の業界でも短期間で状況が一変していることを踏まえれば、継続的に業績を成長させていくことがいかに難しいかがわかるでしょう。

任天堂はDSやWiiで数年前までは我が世の春を謳歌していましたが、今やスマートフォンに顧客が流れ、業績不振に喘いでいます。

 

マクドナルドと同じ外食産業の牛丼業界でも、激しい価格戦争を繰り広げた結果、注目度が上がり、値下げによる利益圧縮を顧客数の増加でカバーし、堅調な業績を記録していましたが、顧客が低価格に反応しなくなると、客数が落ちて業績は下降局面に入ってきました。

 

かつてマクドナルドも藤田前社長の時代に、ハンバーガーを59円で安売りして爆発的な売上を記録しましたが、顧客に飽きられるとハンバーガー=安物のイメージが定着して、見向きもされずに業績は悪化の一途を辿った時代があります。

 

この状況を高価格路線で立て直したのが原田社長なのです。

このマクドナルドのケースを踏まえれば、牛丼業界の次の一手も高価格化路線であり、この戦略は既に各社が取り組んでいることでもあります。

 

それでは、マクドナルドにとって次の一手はどのような戦略が考えられるでしょうか?

低価格路線への回帰でないことはいうまでもありません。

 

原田社長によれば、新製品開発を減らしてビックマックなどの定番商品を磨き、新たな顧客を開拓していくとのことのようです。

そして、新たな顧客を呼び込むためにコーヒーの無料キャンペーンなどを行って店舗に来店してもらう仕組みも重要だとインタビューに答えています。

報道では宅配に力を入れて、現在の実験店舗の成功を足掛かりに近々全国展開を検討しているとも伝えられました。

 

今はビジネス環境が短期間で激変するために企業の舵取りは非常に難しいと思いますが、私自身は外食のトレンドから、ドリンクバーやサラダバーなどの導入も一定の効果を発揮するのではないかと考えています。

 

また、アメリカの外食事情を分析するとファストカジュアルと呼ばれる、ファストフードよりも若干高級な市場が急成長していることからも、ファストカジュアル分野への進出も検討に値するでしょう。

 

いずれにしろ、外食産業は残念ながらゼロサムゲームであり、参加する企業すべてが勝者になることはできません。

人の胃袋には限界があるので、マクドナルドでランチを食べた人はその足で吉野家の牛丼を食べることはなく、総量は人口に応じて決まっているのです。

 

このような過酷なゼロサムゲームが展開される中、果たしてマクドナルドはどのような戦略で直接のライバルとなる外食企業やコンビニやスーパーなどの中食企業に流れた顧客を取り戻していくのでしょうか?

原田社長の手腕に注目したいと思います。

 

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◎ 今回のポイント!
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1.最近の顧客の嗜好の変化は激しい。これまで成功した企業でも予測を見誤れば大きな失敗につながることがある。

2.常にマーケティングに関する数値をチェックし、戦略の修正を施して精度を高めていく必要がある。