ワシントンで催されるオバマ米大統領の2期目の就任式典に、ミシェル夫人が誰のデザインした、どんなドレスを着て姿を現すか・・・。

そして、その答えが出たわけですが、大方の予想を裏切るサプライズでした。
ミシェル夫人が大統領就任祝賀舞踏会でまとったのは、4年前と同じ台湾出身デザイナー、ジェイソン・ウー(Jason Wu)氏が手掛けたドレスでした。
http://www.vogue.co.uk/news/2013/01/22/michelle-obama-inauguration-dress---jason-wu-interview

 

前回の2009年に選ばれた頃、ウー氏はまだそれほど知名度が高くなかったのですが、この晴れ舞台にチョイスされたおかげで、一躍、世界的な有名デザイナーの仲間入りを果たしました。
アメリカンドリームを体現するかのようなシンデレラボーイになったウー氏はこの4年間で実力が広く認められるようになりました。

 

当時はウー氏の出身がアジアであることから、大統領のアジア重視の姿勢を反映したとか、新鋭のデザイナーを応援しようと考えたなどの理由が挙げられました。もちろん、ウー氏の作品の完成度が高かったことは当然で、ミシェル夫人の卓越したセンスも評判となり、その後、『VOGUE』誌の表紙を飾ることにもなりました。

 

そういった背景があるだけに、今回どのデザイナーがお眼鏡にかなうのか関心を集めていたのですが、まさかもう一度同じデザイナーを選ぶとは予想されていなかったので、米国メディアも驚きをもってこのニュースを報じました。
「別の新鋭にチャンスを与える」「米国の大御所を選んで、視野の広さを示す」などの予想が示されていましたが、ほとんどがはずれました。

 

尖閣諸島の騒ぎを引き合いに出すまでもなく、アジアをめぐる情勢は4年前からゆるんでおらず、政治的メッセージとしても中国、台湾エリアから視線をはずしていないという姿勢を感じさせることができた点で、ウー氏のドレスを選んだ意味があったと言えるかもしれません。

 

様々な観測が流れる中、公式コメントが出ないと、真の意図は分かりませんが、勝手な憶測が許されるなら、結論は割とシンプルで、「それが気に入ったから」というものです。同じデザイナーを選んだことによって、夫人の「ブレない」ファッションセンスが印象づけられたのは、今回の決断の大きな利点と言えます。

 

舞踏会では赤いノースリーブのドレスに身を包んだミシェル夫人でしたが、その前に行われた日中の式典では、NYコレクションに参加している米国人デザイナー、トム・ブラウン(Thom Browne)氏のコート&ワンピースでした。
http://www.cbsnews.com/8301-207_162-57565034/thom-browne-on-michelle-obamas-inauguration-outfit/

 

ブラウン氏はアメリカントラッドの伝統を重んじながらも、大胆な読み換えを試みるアプローチで知られるデザイナー。そして、「トム・ブラウン」のコートとワンピースに合わせた小物類は「ジェイ・クルー(J.Crew)」でした。
こちらはリーズナブル価格で手に入る比較的身近なブランドです。

 

ミシェル夫人のおしゃれセンスが高く評価される理由の1つに、ラグジュアリーブランドとお手頃プライス・アイテムの巧みな
ミックスコーディネートがあります。今回のスタイリングでもそのセンスは存分に発揮されていて、「ジェイ・クルー」は前回09年に続く式典登場となりました。

 

式典直前の数日の装いを見ると、NYコレクションの看板ブランドの一角である「マイケル・コース(Michael Kors)」や、「コーチ(Coach)」の
クリエイティブディレクターが手掛ける「リード・クラッコフ(Reed Krakoff)」など、米国の第一線ブランドがまんべんなく選ばれていて、夫人が米国ファッションを応援しようと心がけている様子も感じ取れます。

 

両ブランドはアメリカンスポーツの伝統を現代的に解釈している点で共通していて、飾り立てないエレガンスを好む夫人のテイストがうかがえます。
一緒に列席した2人のお嬢様は「ジェイ・クルー」と「ケイト・スペード(Kate Spade)」のコートとドレスを着用。

 

かつての米国ファーストレディーは米国の大御所ブランドから公式行事用のドレスを調達するのが一般的でした。
(例外的だったジャクリーン・ケネディ夫人はヨーロッパブランドを好んでいました)

 

割と保守的な性格の強いファーストレディーの装いに、庶民的なショッピング感覚や、現代的なミックスコーディネートを持ち込んだ点で、ミシェル夫人の功績は大きいと言えます。

 

米大統領は3選が許されていないので、オバマ政権はこの残り4年が最後。
後半の4年間にミシェル夫人がどんな着こなしを披露してくれるのか、夫の政治手腕に劣らず、期待が集まりそうです。