小さなウソの裏に大きな真実が……

小さな嘘の裏に真実

ちょこちょこと小さなウソをつく夫の裏に隠されていた大きな真実。ただの「冗談好き」だと思っていたら、実は裏切られていたと知った妻はどういう行動に出たのだろうか。

 

冗談ばかり言っている夫

「うちの夫、結婚したころから小さなウソをついていたんですよ。それをうまく冗談にしていた。そういうタイプの人だと思っていたんです」

ユミさん(43歳)はそう言って力なく微笑んだ。29歳で結婚してふたりの子をもうけ、ごく普通の家庭を築いていると思い込んでいたという。

「夫のウソ」は些細なことばかりだった。お酒好きで、若いころは飲んで駅のホームで寝てしまい、駅を追い出されて路上で朝を迎えたこともある。そんなときは「宇宙人に拉致されていた」と翌日の帰宅後に妻にまじめな顔で訴えたとか。

同じ店で飲んでいた見知らぬ他人が酔っ払い、タクシーで送っていったあげく自分が帰れなくなったこともある。そのときも「狐に騙されて家に連れて行かれた」とわけのわからないことを言っていたとか。いずれもしばらくたってから、知り合いや共通の友人から真相を聞かされた。

「あるときボーナスがなかったことがあるんです。支給されなかったわけではなくて、事故を起こして困っていた友人にあげてしまった。でも正直にそう言わずに『カードでおろしたけど落とした』と言い張って。あとからその友人が家まで来て返してくれたんです。本人はあげたものだと言い張っていましたね。家計的には困ったけど、彼のしたことは友人を助けるためだったから、そういう夫を嫌いにはなれませんでした」

夫の言うことは本当かどうかわからない。ただ、ウソだとしても誰かを傷つけるわけではないし、妻の自分も本気で怒るようなものではない。夫は率直に言うのをためらったり恥ずかしがったりするだけ。そういう人なのだ。ユミさんはそう解釈してきた。

 

まさかと思うような事実が発覚

なんだかんだ言いながらも、彼女はともに生きるパートナーとして夫を信頼していたのだ。だから3年ほど前から、「最近、会社の若い女性からモテるんだよね」と夫が言うようになったときも、また冗談ばかりと思っていた。ただ、仕事だけはまじめだし、ちょうど昇進した時期でもあったので、「40代になって人畜無害だと思われているのよ、だからモテるの」とジョークを返した。

「今日もステキな上司をもって幸せですって言われちゃったよ」

夫がそういうことばかり言うので、じゃあ、その部下を連れてこいとユミさんは言った。すると本当に次の週末、女性社員が3人ほどで遊びに来たという。

それ以来、男性も含めて部下たちがよく来るようになった。ユミさんも子どもたちも大歓迎した。家庭がにぎやかになるのは楽しかったのだ。

1年ほどたったころ、夫の部下のある女性からユミさんに連絡があった。

「奥さんは知らないようだからお伝えしておきますが、ダンナさん、R子とできてますよ」

まさか、とユミさんは思った。R子さんは最初に家に遊びにきた夫の部下だ。それから何度も来ているし、子どもたちも懐いている“おねえさん”だ。まさか、そんなことがあるはずはない。連絡をしてきた女性のやっかみだとユミさんは感じた。

「それでも何かがひっかかる。あるとき夫に、R子さんって本当にあなたのことが好きなんじゃないのと言ってみたら、夫は『そうなんだよね』って。恋愛関係なのかと問いつめたら、そうかもねって笑い転げたんです。それがウソか本気か判断がつかなかった。ずっとウソや冗談ばかりの人だったから、私も判断基準がなくなっていたんです」

数カ月前、夫は遠方に転勤になった。どうやら会社に不倫がバレたらしい。さすがに夫もウソをつく余裕もないほど意気消沈していた。それでやっとユミさんも、あの「たれ込み」が本当だったと気がついた。

「些細なウソは許してきたし、おもしろがったりもしてきた。だけど、私が問いつめたときだけは、夫は本当のことを言っていたんですね。もう、なんだか夫の人間性がわからなくなりました」

今、夫は単身赴任中だ。離れて過ごしているこの期間に、もう一度、夫婦としてやっていけるかどうか冷静に見極めたいと彼女は言う。

「それだけではなく、夫の本性はどこにあるのか、なぜ小さなウソをつき続けていたのか。単なるお調子者なのか、何かあることを予測して保身のためにウソをついていたのか。いろいろ知りたいんです。それらをわかった上で夫婦としての関係を見直したい」

ユミさん自身、まだ混乱の中にいるのだという。14年連れ添った夫は、どういう人間なのか。それがわからなくなったときの妻の複雑な気持ちは察するにあまりある。