一人暮らし世帯の平均貯金額は大幅に減少、中央値だけ増加

一人暮らし世帯が保有する貯金額の平均値は、774万円と前年の942万円と比較して198万円の減少でした。貯金の中央値は50万円と前年の32万円から18万円の増加となりました。一方、貯金あり世帯だけに限ると、その平均値は1234万円と前年より537万円もの大幅な減少となりました。平均値も350万円と前年から250万円減少しています。これだけの金融資産保有額の減少は統計を取り始めて初の減少と思われます。
 

家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成30年調査結果(金融広報中央委員会)のPDFより抜粋

家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成30年調査結果(金融広報中央委員会)のPDFより抜粋


以下は、金融資産を保有している世帯だけのデータになります。

金融資産保有世帯において、現在の金融資産残高が1年前と比較して「減った」と回答した世帯は25.0%(前年20.8%)と4.2ポイントの上昇、金融資産が「増えた」と回答した世帯は38.7%(前年42.9%)と4.2ポイントの減少となりました。

金融資産残高が増加した世帯では、その理由について「定例的な収入が増加したから」、「定例的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから」が42.5%、27.8%(各前年35.0%、23.7%)と上昇しました。「株式、債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したから」、「配当や金利収入があったから」は、20.4%、15.0%(各前年27.1%、19.5%)でしたので、貯蓄額を増やしたことが残高を増やした反面、投資による評価の目減りが響いたようです。

一方、金融資産残高が減少した世帯では、「定期的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」が46.1%(前年48.7%)と2.6ポイントの減少、「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」が20.3%(前年17.6%)、「旅行、レジャー費用の支出があったから」は16.4%(前年15.4%)でした。単身世帯は株式、債券の評価減がやはり響いたようです。
 

一人暮らしで貯金あり世帯の金融資産保有状況

金融商品別の構成比をみると、預貯金(郵便貯金を含む)は41.7%と前回の47.3%から5.6ポイントの大幅減少となりました。金額に直すと前年の839万円が515万円に減少しているのです。単身世帯の預貯金の割合は全体50%を下回り続けている反面、有価証券の割合が高いのが2人以上世帯との大きな違いです。

 

金融資産の保有状況 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成30年調査結果(金融広報中央委員会)のPDFより抜粋

金融資産の保有状況 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成30年調査結果(金融広報中央委員会)のPDFより抜粋


債券・株式・投資信託の有価証券の構成割合は30.9%と前回の34.5%を3.6ポイント低下しています。債券、株式の構成割合を減少させたものの、投資信託だけが増加しています。2人以上世帯と同様、単身世帯でも有価証券全体では株高の恩恵をあまり受けていないようです。

一方、構成割合を大きく増やしたのは生命保険と個人年金保険です。前年は共に6.6%に過ぎなかったのですが、今回は生命保険が9.6%、個人年金保険が9.1%と増やしているのです。

保険の予定利率は低下傾向にあるのにその割合が増えているのは2人以上世帯同様謎ですが、金融機関が「貯蓄型の生命保険」に販売を中力したこと、人生100年時代と昨年あたりから言われ始めことが影響しているのかもしれません。

一般NISAを保有している世帯における平均保有額は168万円と前年の157万円より9万円増加しています。その歩みは緩慢ですが、順調に「貯蓄から資産形成へ」と動き始めていることが伺えます。ただ、「つみたてNISA」については、単身世帯では調査が行われなかったようです。

残高上は「貯蓄から資産形成へ」と進んでいるように見えますが、金融資産構成を前年と比較して「現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型やリスク資産に振り向けた」とした世帯は6.2%(前年6.4%)と0.2ポイント減少。反対に「長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた」世帯は86.9%(前年86.5%)と0.4ポイント増えています。実際は、一部の世帯が積極的に投資を行っているだけで、全体では投資を行う世帯はやや減少という状況のようです。