家計全体で2.2兆円の負担増。前回よりも影響は少ない!?

10%への消費増税がいよいよ決定的となり、軽減税率やポイント還元をはじめ、さまざまな軽減策についての話題が活発化しています。日銀は今年4月に経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表し、2019年10月に消費税が10%に引き上げられた際、国民の家計負担は2兆2000億円増加すると試算しています。前回、消費税が5%から8%に引き上げられた、2014年度は8兆円の増加であったことからすると、今回の消費税率引き上げの影響は4分の1程度になるといいます。
 
当然のことながら、個々の家庭においては、収入、家族構成などの違いによって、消費増税の影響は変わってきます。そもそも住宅ローンを借りていなければ、住宅ローン減税の恩恵(所得税・住民税の軽減)は受けられないわけですし、子どもがいなければ教育無償化も家計に影響がありません。クレジットカードや電子マネーの支払いの場合、ポイントなどで増税分を還元するなどの策も、現金主義の人にとっては、還元を受けることができません。
 
しかしながら、確実に、消費増税がやってくるのであれば、今から個々の家庭でできる、家計防衛策を考えておくべきでしょう。
 

日銀展望レポート(2018年4月)より作成。2014年度増税時の家計負担額

日銀展望レポート(2018年4月)より作成。2014年度増税時の家計負担額

日銀展望レポート(2018年4月)より作成。2019年度増税時の家計負担額

日銀展望レポート(2018年4月)より作成。2019年度増税時の家計負担額


増税前に、日頃の買い物行動を見直すこと

消費増税で、もっとも家計に影響があるのは、日々の生活にかかわるものでしょう。
 
総務省の家計調査(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)の1カ月の消費支出は31万3057円。単純計算で、そのうち消費税は2万3189円。これが消費税10%になると、消費支出は31万8854円で増税分は5797円ということになります。年間で約7万円の増税となります。
 
食品など日常生活にかかわる消費については、軽減税率の適用を受ける可能性が高く、ここまでの増税にはならないかもしれません。一方、大型家電や家具など一度にまとまったお金が出ていく、いわゆる「特別支出」については、駆け込み需要によって、増税後は消費控えなどが起こり、増税前よりも価格が安くなる可能性もあるでしょう。
 
家計管理をしっかりしているつもりでも、増税前後の消費で、家計が大きく変動することは避けたいものです。増税を控えた今、まずやっておきたいのが、日常の支出と年に数回ある特別支出についての洗い出しです。
 
日常の買い物行動で、不要なまとめ買いをしていないか、節約できることが分かっているのに、通信費などの契約の見直しをしていないなど、消費増税に関わらず、日頃のムダを後回しにせず、やっておきたいものです。特に増税前の駆け込み需要で日用品を大量に買い込んでも、それで得する金額はいくらなのかと考えれば、数百円のために血眼になるぐらいであれば、他で節約できることを実行したほうが、数段お得になるはずです。毎月必ず出ていくお金、通信費、水道光熱費の見直し、国民年金などのまとめ払い(普通預金に預けっぱなしなら、まとめ払いでおトクに)など、一度見直しをしてしまえば、節約効果が持続することを優先しましょう。
 

年に数回の支払いがある特別支出は別口座で管理する

年に数回ある特別支出については、本当に今、必要な家具・家電なのか購入時期の見極めが大事ですが、それ以上に、計画的に支出する口座を別枠で設けているかがポイントになります。
 
確かに大きな出費の買い物なので、消費増税前に買い換えをしたい気持ちもわかりますが、雰囲気に流されて買ってしまうのは、衝動買いと同じ。予定していた買い換えを前倒しで買う以外は、冷静に判断するようにしたほうが賢明です。特に、電子機器類は新製品のサイクルが早く、本当に必要な機能があるのかどうかは増税とは関係ないからです。買ってから、新製品のほうが性能がよく、ニーズを満たしていたとしたら、増税分はあまり意味のないことになってしまいますし、新製品の発売後に、型落ちの製品が安くなることは、往々にしてあります。
 
そのことを理解したうえで、まとまった金額の支出については、日常の口座と分けて特別支出用の口座を作っておけば、増税前後で毎月の家計費が大きく変動することも避けられます(ボーナスで家計の立て直し。臨時出費用の貯蓄がキモ)。
 

住宅購入の決断は2019年3月31日まで?

消費増税で問題になるのは、住宅購入です。住宅のうち消費税がかかわるのは、建物部分(土地は非課税)、仲介手数料、登記などにかかわる手数料、住宅購入後の家具・家電など。その影響は、物件価格や住宅ローンの金額にもよりますが、数十万円~100万円程度は余計な出費となります。
 
増税前に購入するのであれば、2019年9月30日までに決済、引き渡しを受ける必要がありますが、注文住宅などは、3月31日までに工事請負契約が済んでいれば、10月以降の引き渡しでも、消費税は8%のままとなります。
 
こうしたことから、前回の消費増税の際にも、駆け込み需要はありました。
 
しかし、一生を左右する大きな買い物を、消費増税のために決断するのは早計です。計画的に住宅購入を考えていたタイミングが今であるなら、増税前に購入するのは理にかなっていますが、計画が不十分なまま、住宅購入をしてしまうと、家計破たんの危険性が高くなります。資金計画もずさん、その後のライフプランもあいまい、子どもの教育費の確保もできていない、自分たちの老後計画についても不安を抱えたまま。どれもこれも後回しにしていいことではありません。
 
住宅購入については、増税を巡って、さまざまな議論が出てきますが、雰囲気に流されることなく、実行可能なライフプラン、マネープランを立てることが最優先であることは、肝に銘じてほしいと思います。