『OVER DRIVE』主演・東出昌大さん直撃インタビュー

東出昌大

『OVER DRIVE』東出昌大さんインタビュー


映画『OVER DRIVE』は、公道で繰り広げられる自動車競技「ラリー」の世界に生きる男たちを描いた血沸き肉躍る迫力満載のエンターテインメント映画。『海猿』など、男の熱い世界を描いたら右に出るものがいない羽住英一郎監督の最新作です。

この映画の主演をつとめるのが東出昌大さん。東出さんに、役への取り組み方、撮影の裏話、そして俳優としての生き方など、さまざまなお話を伺ってきました。


 

車の専門用語を覚えるのは大変でした

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大量の車の資料を読み込んで、撮影に臨んだ


―映画『OVER DRIVE』は、ラリーの世界で生きる兄弟と仲間たちの命懸けの熱い闘いを描いて大迫力でした。この映画の依頼が来たときのことを教えてください。

東出昌大さん(以下、東出):もともと車好きというわけではなかったので「車の映画なんだ」という受け止め方でした。

でも、台本を読んでみると、エンターテインメント性の高い物語でとても面白く「これは誰が見ても面白いと思ってもらえる映画になる」と思いました。撮影に入るのがすごく楽しみでしたね。

―東出さんが演じる檜山篤洋は、車のメカニックという職人仕事に従事している役ですが、準備が大変そうですね。

東出:まずスタッフからラリーや車に関する分厚い資料の束を頂きました。「こんなに資料あるの?」と。息をのむような多さで驚きました。

セリフの中には専門用語が多くあり、意味を理解して演じたいと思ったので、車の専門用語をロジカルに考えられるようになるまで、必死に覚えました。資料を読み込むうちに、車に興味がなかった僕も、いつの間にか車が大好きになりましたね。

―篤洋さんのキャラクターの作り方としてはどうでしょう? 役作りに付いて教えてください。

東出:僕は演じるにあたって、俳優は役の人生をしっかり生きていくことが大事なことだと思っています。

篤洋はチーフメカニックとして、エンジン回りを主に担当しているのですが、それはチームの頭脳であるということも意味しています。篤洋は「スピカ」を代表する人間なのだと考えて演じました。


 

実はスピード恐怖症です(笑)

東出昌大

右下、車の下で修理する篤洋こと東出さん


―「スピカ」のみなさんは、物語を追うごとにチームワークが強化されていく感じがしました。またメカニックたちの仕事の流れがどんどん洗練されていって、かっこよかったです。

東出:羽住監督が、いつカメラをまわしても僕らがメカニックとして機能できるように、撮影の約1ケ月半くらい前から車を触らせてくれて、実際に整備する練習もできたんです。

チームのみんなで車をばらして組み立てるという作業をやっているうちに、チームワークもどんどん良くなっていきましたね。とても必要な時間だったと思います。

―弟・直純役の新田真剣佑さんとは初共演ですね。東出さんから見て、新田さんはどんな俳優さんですか?

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弟の直純を演じた新田真剣佑


東出:映画の中では篤洋と直純の間には確執があったりしますが、やはり兄弟役だったので、彼はとてもフランクに弾けるような感情表現で僕に接してくれました。

でも彼は明るいだけではなく、その一方で暗さ、闇みたいなものも持っている人で、その明暗が豊かな演技力に繋がっているのではないかなと思います。もちろんルックスのカッコ良さも魅力的ですが、僕は俳優・新田真剣佑の闇があるところが好きですね。

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少年時代は仲良かったのに。あることがきっかけで対峙する兄弟


―兄の篤洋はメカニック、弟の直純はラリー界のトップクラスのドライバーですが、ドライバー役への憧れなどありませんでしたか?

東出:篤洋としては、メカニックの仕事に誇りを持っているのでドライバーに憧れる気持ちはありません。そして東出としては、スピード恐怖症なのでドライバーへの憧れはないです(笑)。

自分の車を運転するときもすごく安全運転ですし、スピードを出したいと思ったこともないですね。撮影中、プロのドライバーさんの運転する車の横に乗せていただいたことがあったのですが、本当にすごく怖かったです(笑)。


 

撮影中は不安で仕方ありませんでした


―羽住監督とは初仕事ですよね。監督との仕事で学んだことなどありますか?

東出:この映画で篤洋は常に悩みの中にいましたが、僕も撮影中ずっと不安を抱えていたんです。カメラ前に立つのも怖いし、これでいいのだろうか、自分はちゃんと作品の柱になっているだろうかとずっと考えていました。

その気持ちを監督に正直に吐露したら、監督は何も言わずに握手をしてくれたり、背中をポンポンと叩いてくれたりして……。

撮影も中盤に差し掛かった頃「俺の映画に出ているからには大丈夫だ。俺について来い、絶対にいい映画にしてやるから」と言ってくれたんです。そのとき、男の広い背中を見たというか、かっこいい男性だと思いました。

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頼りになる羽住英一郎監督


―頼りになる監督だったんですね。東出さんが撮影の間抱いていた不安とは、どういうことでしょう?

東出:監督によって演出方法が違うように、作品のテイストも作品ごとに違います。『OVER DRIVE』は、エンターテインメント性が高く、羽住監督作の『海猿』や『MOZU』のように、男のスケール感がそのまま作品に投影される作品だと思ったんです。

自分がそこまでに至っているのかと考えると怖かった。でも撮影が終わる頃、羽住監督に「東出が悩んでいる姿を見て、つくづく篤洋だなと思った」と言われて、監督はそこまで見ていてくれていたんだという嬉しさと同時に、これで良かったんだと安堵しました。


 

初めてのオーディションは落ちたと思いました(笑)

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俳優になるつもりはなかった東出さんの人生が激変!


―東出さんの俳優としてのプロフィールを伺いたいです。デビュー作の映画『桐島、部活やめるってよ』はオーディションで出演が決まったそうですが、俳優になりたい気持ちからオーデョションを受けたのですか?

東出:いや、そういうわけではなかったです。僕はかつて6年間、モデル事務所に所属していたので、お芝居のオーディションは初めてでした。芝居はできなかったし、何をどうしていいのかもさっぱりわかりませんでした。

オーディションでは「そこに携帯電話が落ちているから、誰のだろうという感じで拾うお芝居をして」と言われ、セリフは言わなかったんですが「誰がこんなところに」という感じで拾ったら、「はい、お疲れ様」とすぐ言われ「ああ、終わったな」と (笑)。

俳優になるつもりはなかったので「変なオーデョションだったなあ」という感想しかなかったのですが、結果的に宏樹役に選ばれたんです。

―ユニークな経験だったんですね。その後、俳優を志そうと思ったのは『桐島、部活やめるってよ』の出演が大きかったのですか?

東出:はい。撮影の間、すごく苦しかったんです。宏樹の芝居もわからなかったし、役を理解することもできなかった。完成した映画を見たときも、自分のふがいなさで頭はいっぱいでした。ただ「素晴らしい人たちと良い時間を過ごせた」ということに嘘はなかったので、そこが俳優のスタートです。

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「また仕事しよう」と言われることがうれしい

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『OVER DRIVE』の羽住監督ともまた仕事できる日が来るかも!


―将来、俳優としてこうありたいというような青写真はありますか?
東出:かっこいいなあ、凄いなあと思う憧れの先輩は、言い出したら切りがないほどたくさんいます。でも同じ道は辿れないと思うんです。

今、僕が仕事を重ねて来てすごくうれしいと思うのは、一緒に仕事をした監督から「また仕事しよう」とか「撮影をやっているから遊びに来いよ。出てくれよ」など、声をかけていただけることです。

あのとき、わからないことが多くて、いっぱいいっぱいで演じていたけど、そんな風に声をかけていただけると「俳優の仕事を続けていける」と思えます。ご縁とご恩のある監督に呼んでいただける俳優になりたい、一緒に仕事をすることで、恩返しをしていきたいと思っています。

―それは東出さんの演じる喜びに繋がるのですか?

東出:演じる喜びとはちょっと違いますね。例えば、僕は今、ドラマ「コンフィデンスマンJP」でボクちゃんという役を演じていますが、街を歩いていると小学生くらいの子に「ボクちゃ~ん!」と呼ばれたりするんですよ(笑)。そういうとき「見てくれているんだ、楽しんでくれているんだ」と凄くうれしくなります。けっこうそういう瞬間が演じる喜びかもしれません。

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『OVER DRIVE』を見た人から「篤洋」と呼ばれる日が来るかも!


 

好きな映画は『フォレスト・ガンプ/一期一会』です


―All About映画サイトは、取材をする俳優さんに好きな映画などを聞いているのですが、東出さんの好きな映画や映画の思い出を教えてください。

東出:両親が映画好きで、よく一緒に見ていました。『ゴットファーザー』『スタンド・バイ・ミー』『フォレスト・ガンプ/一期一会』など好きですね。

この世界に入って、また少し見る映画は変わりました。俳優の染谷将太くんに「この本、面白いよ」と「シネマトグラフ覚書−映画監督のノート/ロベール・ブレッソン」という難解な本を渡されて(笑)、読んでみたら「こんな世界があるんだ」という新しい発見があり、その影響でフランスのヌーヴェルバーグ作品や台湾映画なども見るようになりました。

シネマトグラフ覚書―映画監督のノート

 
でも一番好きなのは『フォレスト・ガンプ/一期一会』かな。フォレストは無垢な青年なのですが、本人の純粋さだけでなく、彼を取り巻く周囲の人も温かくて、綱渡りのように幸運を掴んで生き残っていくんです。名言も多いし、すごく救われる映画。そこが魅力ですね。


今でも映画を見るときは劇場に行きますが、撮影中は「見ない方がいいかな」と思ったりもします。あまり影響を受けたくないなという気持ちからかもしれません。


 

泥臭いメカニックたちが一生懸命に生きる姿に注目してください


―では最後に、映画『OVER DRIVE』における、東出さんの「ここを見てほしい!」という注目ポイントをお願いします。

東出:とにかく「老若男女、誰が見てもおもしろい映画」と、胸を張っていえます。かっこいい男たちがたくさん出てきますが、ドライバーのかっこいい直純に比べると、メカニックの篤洋はとても泥臭いです。でも彼が泥臭く頑張る姿に一生懸命の価値を見出してもらえれば、僕たちメカニックチームの泥臭い男たちは救われると思います(笑)


東出昌大(ひがしで・まさひろ)
1988年2月1日、埼玉県出身。モデル活動を経て、2012年『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。主な映画作品に2014年『クローズEXPLODE』『アオハライド』2015年『GONIN サーガ』2016年『聖の青春』『ヒーローマニア生活』2017年『関ケ原』『散歩する侵略者』など多数。TVドラマは2013年「ごちそうさん」(NHK)2017年「あなたのことはそれほど」(TBS)2018年「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ)など。

2018年は公開作が目白押しで『パンク侍、斬られて候』(6月30日公開)『菊とギロチン』(7月7日公開)『ピース・ニッポン』(7月14日公開/ナビゲーター)『寝ても覚めても』(9月1日公開)『ビブリア古書堂の事件手帖』(11月1日公開)が予定されています。


『OVER DRIVE』
(2018年6月1日より全国ロードショー)

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ラリー競技、イケメン兄弟ともにかっこいい。デートムービーとしてもオススメ!


国内トップのラリーレース「SEIKOカップラリーシリーズ」で、スピカレーシングファクトリーはライバルたちと熾烈な闘いを繰り広げていました。スピカのメカニックのリーダーの檜山篤洋(東出昌大)は、高い技術と真面目な性格でチーム内の信頼が厚い男。一方彼の弟・直純(新田真剣佑)は、天才ドライバーでありながら破天荒な振る舞いが目立つ問題児でした。二人の間には過去の出来事による確執があり、彼らが衝突するたび、チーム内に不穏な空気を生まれていきます。そんなとき新たなエージェント・遠藤ひかる(森川葵)が、直純の担当になるのですが……。

監督:羽住英一郎
出演:東出昌大、新田真剣佑、森川葵、北村匠海、町田啓太、要潤、吉田鋼太郎ほか

(C)2018「OVER DRIVE」製作委員会

ヘアメイク:石川奈緒記