4年連続で実質的に消費額が減少

ベースアップ、ボーナス増額のニュースがある一方、社会保障関連費の負担増など、なかなか景気回復の実感をもつことができません。じわじわとモノの値段が上がりはじめ、一般世帯の家計収支は厳しい状況が続いていると言えるでしょう。

総務省「家計調査(貯蓄・負債編)2017年」(二人以上の世帯)のデータでは、1カ月の消費支出は28万3027円で、前年から実額では微増ですが、物価変動を考慮すると、実質的には0.3%のマイナス、という結果となっています。
 

1カ月の消費支出の推移(二人以上の世帯)

1カ月の消費支出の推移(二人以上の世帯)


10年前と比較すると、1万5000円ほど消費支出が縮小しています。東日本大震災が発生した2011年は大幅に減少し、その後4年連続で消費支出が増加。しかし、2015年から再び、消費支出が縮小する傾向にあります。

アベノミクスがスタートしたのが2012年12月。ここから消費拡大に向かうかと思われましたが、消費増税があり、また年金不安の解消もなければ、なかなか消費拡大に向かうのは難しいと言えるかもしれません。2014年以降、4年連続の実質マイナスとなっています。


 

10項目のうち、7項目が実質減少に

二人以上世帯の消費支出の内訳では、10項目のうち、7項目が実質減少。そのうち教育がマイナス2.8%と大幅な減少となっています。次いで、教養・娯楽がマイナス1.1%で、光熱・水道、保険医療がマイナス1.0%の減少となりました。

1カ月の消費支出とその内訳(二人以上の世帯)

1カ月の消費支出とその内訳(二人以上の世帯)


プラスになっているのは、家具・家事用品の2.7%、交通・通信が1.3%のみ。家具・家事用品では、家庭用耐久財などが実質増加しており、これまで我慢を強いていた大きな買い物をボーナスなどで買い換えなどを行っていることが伺えます。交通・通信では自動車関連費は実質減少であり、昨今の車離れなどの影響もあるかもしれません。

いずれにしても、食費や住居費、光熱・水道、保険医療など生活基盤にかかわることが押しなべて実質減少というのは、家計の緊縮財政がまだまだ続いている、厳しい家計状態である、ということが見てとれるでしょう。


 

年代別では、唯一60歳代が増加

年代別に見てみると、全体平均のマイナス0.3%に対して、唯一60歳代だけが4.0%の実質増加。50代が平均と同じマイナス0.3%、他の年代は平均よりも減少幅が大きくなっています。特に40歳未満の子育て世代の減少はマイナス2.6%と最も減少幅が大きかったことになります。

年代別1カ月の消費支出(二人以上の世帯)

年代別1カ月の消費支出(二人以上の世帯)


60代は定年退職後も再雇用、継続雇用の拡大などで収入が確保されている世帯も増加傾向にあり、消費に関しても、平均を上回る支出であり、世代間でのアンバランスが際立つ結果といえるかもしれません。


 

貯蓄が多いほど消費支出は増えるが、平均との差は約7万円

貯蓄額によって調査データを5等分にしたのが、貯蓄現在高階級で、低い順に1~5に区分されています。貯蓄額が多い=年収が高いとは限りませんが、貯蓄額が多いほど、1カ月の消費支出は増加します。年収にある程度、比例していると見てもいいでしょう。

貯蓄現在高階級別undefined1カ月の消費支出(二人以上の世帯)

貯蓄現在高階級別 1カ月の消費支出(二人以上の世帯)


しかし、全体の消費支出平均の28万3027円に最も近い、貯蓄残高第3階級でも消費支出は28万2992円と平均以下に抑えられており、最も貯蓄残高が多い第5階級においても、35万1947円と、平均との差は7万円弱。決して多額の支出をしているとは言えないでしょう。

一方、最も貯蓄残高が少ない第1階級でも23万8379円となっており、消費支出については、抑えるべきところは抑え、また最低限の生活をする上では23万円程度が必要である、という裏付けともなっています。


内閣府が発表した2018年1~3月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、年率換算ベースでマイナス0.6%(一次速報値、前期比)と、実に9四半期ぶりのマイナスとなりました。景気回復が停滞したとみる向きもありますが、4月以降の企業業績などによっては、再びプラスに転じる可能性もあります。

本当の景気回復はいつなのか?それによって消費は拡大するのか?と大局的には気になるところですが、一般家庭においては、足元の家計管理、無駄な支出を減らす、なくす、ということが、かなり浸透してきているのではないでしょうか。日頃の消費行動を見直し、あらためて、我が家の消費支出については、平均値を参考にし、把握、確認、修正を行っておきたいところです。