「専門家のお墨付き」なら全部本当?

調べ物をする人々

「大学病院医師が推奨する〇〇」「学術誌で紹介された××」……これらは全部本当のことと言えるでしょうか?

「大学病院の医師が薦める〇〇」「科学的学術誌に掲載された××」「学会発表された~~」……肩書のある医師や権威のありそうな専門誌が取り上げたものは、信頼性が高いと思われがちです。

専門資格を全く持たない方が医学や栄養学などについて語っていた時代よりは大分よくなっていますが、時によっては専門家の意見として正反対のことが紹介されることもあり、混乱してしまうことも少なくないと思います。

本当に自分に合った情報を選び取るにはどのようにすればよいのでしょうか?
 

そもそもエビデンスとは……「証拠」の選び方・読み解き方

専門家は教科書以外に何を頼りに仕事をしているかというと「学術論文」です。ここでいう学術論文とは、研究者たちが出したデータがそのまま掲載されているだけのものではありません。権威ある専門家による「査読」が行われ、不自然な点や分かりにくい点をすべて修正された上で、査読者に認められた論文だけが雑誌に発表されることになります。

そして専門的な学術雑誌も1誌だけではありません。『Nature』や『Science』といった世界的に有名な学術雑誌もある一方、大学内で行われている研究をまとめたもの小規模な雑誌もあります。一言で「専門誌・学術雑誌に掲載された」と言っても、その規模は千差万別で、内容の扱いも非常に難しいのです。そのため多くの専門家に読まれ、後発の論文に「参考文献」として引用された数の多い雑誌を「インパクトファクターが高い雑誌」として信頼度を測る指標にする向きもあります。

また「学術集会で発表された」といった報道もよく聞きますね。これも、「発表されたから真実」と考えるのは正解ではありません。学術集会での発表は、論文と違って正確性をジャッジされていません。専門家が考えたことには違いありませんが、専門家全体の意見というよりも発表した人の一つの意見と考えるのがよいように思います。
 

専門家はどこで信頼できる情報を手に入れるのか

専門家は有名な雑誌だけを読んでいれば事足りるかと言うと、そうではありません。世界中にはたくさんの専門誌が存在し、その中から自分の研究に必要な論文を探し出す必要があります。

幸いにして現在は、インターネットが発達しています。紙に印刷して製本を待つよりも数段早いスピードで情報提供することができます。そのため、専門誌のほとんどが紙に印刷された雑誌ではなく、インターネット上で検索し、読むことができるようになっています。

大学の図書館などでは、さまざまなインターネットの専門誌を提供する会社と提携し、ほぼすべての雑誌を閲覧できるようにしているところもありますが、市区町村の図書館ではそのような会社と提携しているところはほとんどありません。

とはいえ、自由に誰でもが閲覧できるようにされている専門誌等もありますので、情報源を知りたい、もっと深く知りたいと思ったときには、紐解いてみるとよいでしょう。

以下に、私がよく利用している専門誌の閲覧サイトをご紹介します。

Pub Med(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed) 世界中の医療関係者がもっともよく使っていると思われるサイトです。すべて英語で検索する必要があります。遺伝子の情報なども同サイトで検索することができるため、私も大学院生時代は毎日のようにこのサイトを検索していました。

基本は大学附属の図書館等が有料会員となり、その図書館の利用者のみが情報を閲覧できるようになっていますが、一部、一般人が無料で閲覧できる論文もあります。論文要旨と呼ばれる内容の抜粋だけは、ほとんどの論文が無料で閲覧できます。

CiNii(https://ci.nii.ac.jp/) 「CiNii(サイニー)」は日本語の論文を集めたサイトです。Pub Medと同様、有料会員の図書館の利用者のみがすべての論文を閲覧できます。数は少ないですが、一般人が無料で閲覧できる論文もあります。

J-Stage(https://www.jstage.jst.go.jp/) 英語で検索する必要があります。同ページの日本語版はhttps://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja
です。ほとんどの論文は無料で読むことができますが、一部、有料の論文もあります。

医中誌(http://demo.jamas.or.jp/) 日本語で検索できます。基本的には有料ですが、デモ版が無料で使えます。どのような論文があるかを探すだけならば、使いやすいツールです。

J-Global(http://jglobal.jst.go.jp/) 日本語で検索できます。著者名、論文名などを入力しやすいので、詳細な検索に適したサイトです。

google scholar(https://scholar.google.co.jp/) 日本語でも英語でも検索が可能です。上記のサイトで読むことができなかった論文のタイトルを入力して検索すると、閲覧ができるときがあるので助かっています。自宅のパソコンなど、論文検索サイトと提携していないパソコンから論文を探すときには、もっとも重宝するサイトです。ガイドが記事を執筆する際も、このサイトにて論文を検索し、論文をいくつか読んだ上で、整合性を確かめてから、執筆しています。

このように、専門家は専門家同士で紙面を通して情報交換をしています。

さて、ここからがポイントです。広く世界中の論文が容易に手に入るようになった昨今。専門家であってもこれらのすべての情報に目を通すだけの時間はありません。そのため、これらの情報を専門家自身が吟味し、自分の考えに合った論文を読み、その知識を蓄えていくことになります。そのため、同じジャンルの専門家であっても意見が180度異なるということも起こるのです。

もちろん、専門家同士であればお互いに意見が異なっても、相手の意見の真意が分かっていますから、さほど混乱はありません。しかし、一般の方へ情報提供がなされるときには、異なる2種類の意見が同じような肩書きの専門家から出されるため、混乱が生じる面が出てきているように思います。

実際に、私が記事を執筆する際には、読者の皆さんの利益を最優先事項として考えています。そのためには、できる限り、極端な意見に左右されないよう、細心の注意を払っています。それでもやはり、「私」というバイヤスを通した記事ですので、読者の皆さんは「これは自分に合うのかな? 」と、立ち止まって考えてほしいです。

そんな私でも、一つだけ間違いないと言い切れることは、最終的にご自身を守れるのはご自身だけだということです。いろいろな情報源を参考にして「これが自分にとって最適だ」と思った内容に関しては、ぜひ複数の意見を参考にしながらよく調べ、ご自身の生活の中に取り入れてください。