大ブームの観光列車、満足度ランキングTOP10を決定!

観光列車が相変わらず大ブームで、全国には数えきれないくらいの列車が走っている。そこで、私が取材できた列車について、満足度の高かったものの中からTOP10を選んでみた。それぞれの車両について、車内設備、車窓、飲食サービス、車内イベントなどのユニークさ、沿線観光地の魅力、総合的な満足度を点数化して順位を付けたものである。なお、あまりに高額で抽選倍率も高い超豪華列車(「ななつ星in九州」「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」「TRAIN SUITE 四季島」「THE・ROYAL・EXPRESS」)については別格であり、同一には比較できないので、今回は対象外とした。

では、10位から順に見ていこう。
 

第10位 「特急 ゆふいんの森」
(JR九州 久大本線ほか、博多~由布院など)

ゆふいんの森

由布岳をバックに走る「ゆふいんの森」


登場して四半世紀。数あるJR九州の観光列車(JR九州ではD&S[デザイン&ストーリー]列車と呼んでいる)の中では歴史ある老舗的列車だ。丸みを帯びたヨーロッパ的なクラシカル調の車体は優雅な感じを漂わせている。木のぬくもりを感じさせる車内は、今でこそありきたりもののだが、デビュー当時は実に斬新で目を見張ったものである。アテンダントさんのおもてなしぶりも旅を上質なものとしてくれる。

2017年夏の豪雨被害で、ルート途中にある久大本線の一部区間が不通のままなので、目下、小倉まわり、日豊本線経由で迂回運転中だ。

<関連サイト>
特急ゆふいんの森(JR九州の公式サイト)


 

第9位 「HIGH RAIL 1375」
(JR東日本 小海線、小淵沢~小諸)

HIGH RAIL 1375

JRで最も標高の高いところにある野辺山駅で停車中のHIGH RAIL 1375


2017年夏に登場したばかりの列車。高原列車で有名な小海線(山梨県、長野県)を走破する。八ヶ岳、野辺山高原、千曲川、浅間山と車窓を楽しめるのはもちろんのこと、軽食やスイーツセットがオプションで味わえるのが魅力的だ。また、沿線の高原地帯の空気が澄んでいるため星空が楽しめることをアピールし、車内のギャラリー天井に星空映像を投影している。さらに、夜間に運行する列車では、野辺山駅に1時間ほど停車して駅前で星空観測のイベントを行う。こうしたユニークさが評価され、ベスト10入りを果たした。

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「HIGH RAIL 1375」乗車記 空に一番近い観光列車の旅


 

第8位 「花嫁のれん」
(JR西日本 七尾線ほか、金沢~和倉温泉)

花嫁のれんとのと里山里海号

8位の「花嫁のれん」(右)と7位の「のと里山里海号」(左)


北陸新幹線金沢延伸による波及効果を狙って登場した列車。金箔、加賀友禅、輪島塗など地域の伝統工芸の美を取り入れて、豪華絢爛たる車両を造り上げた。とくに1号車は、和風旅館や料亭を思わせる半個室で度肝を抜かれる。

和軽食セット、ほろよいセットなどの食事サービスも充実している。惜しむらくは、車窓が単調な田園地帯がほとんどで魅力的ではないこと。このため、総合点では減点され、上位進出を果たせなかった。

<関連記事>
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第7位 のと里山里海 (のと鉄道、七尾~穴水)

第8位の「花嫁のれん」と同様、能登観光をアピールするため設定された列車。予算も限られる第3セクター鉄道にあって、新車を導入したことでやる気を感じさせる。派手さはないけれど、工夫された車内や、アテンダントさんのおもてなしは好感が持てる。

土休日の食事付きコースのほか、平日は気楽に乗れるカジュアルコースもあり、営業努力を評価したい。見ごたえたっぷりの七尾湾に沿って走る車窓は、ビュースポット停車が3ヶ所もあり、アテンダントさんの説明を聞きながらじっくり楽しめる。

<関連サイト>
のと里山里海号 公式サイト


 

第6位 「越乃Shu*Kura」
(JR東日本 信越本線、飯山線ほか、十日町~上越妙高ほか)

越乃Shu*Kura

日本海に面した青海川駅に停車中の越乃Shu*Kura


越後(新潟県)の地酒を味わうことをメインテーマとした観光列車。飲食のほか、車内でジャズなどの生演奏も企画し、午後の列車では青海駅のホームから日本海の夕景をじっくり楽しめるよう列車ダイヤが組まれている。旅行商品を購入しての旅のほか、駅窓口で指定券のみを予約しての乗車など多様な旅の楽しみ方が可能だ。ルートもいくつかあり、目的や季節に応じて選んで乗車するのも面白そうである。

<関連サイト>
越乃Shu*Kura 公式サイト


 

第5位 「TOHOKU EMOTION」
(JR東日本 八戸線、八戸~久慈)

TOHOKU EMOTION

久慈駅に到着したTOHOKU EMOTION


東日本大震災の復興支援を兼ねて運転しているレストラン列車。地元をはじめ、東北の食材を用いることによって東北を元気にすることを目指している。ランチタイムにコース料理を食べながら、太平洋の雄大な車窓を楽しめる。数あるレストラン列車の中では、かなり贅沢であるものの大人気となっていて、相当先まで予約で満員だ。駅の窓口ではなく、この列車の乗車を組み込んだ旅行会社のツアーに申し込んでの参加となる。復路は午後のティータイムとなり、往復乗車しても飽きることはない。

<関連サイト>
TOHOKU EMOTION 公式サイト


 

第4位 「リゾートしらかみ ブナ編成」
(JR東日本 五能線など、秋田~青森、弘前)

リゾートしらかみ

千畳敷駅に停車中のリゾートしらかみ(ブナ編成)


2017年4月に運行20周年を迎え、すっかり人気が定着した感のある観光列車なお老舗的存在だ。観光シーズンには1日3往復し、3種類の車両が用いられている。青池編成に続いて、2016年7月にはブナ編成が新しいハイブリッド車両に置き換えられ面目を一新した。

ブナの愛称をイメージした木製のシンボルツリーを車内に配置し、非日常感を演出したり、カウンターや展望室、イベントスペースもあり車内散策の楽しみがある。

津軽三味線生演奏、津軽弁語り部実演といった車内でのイベントのほか、能代駅でのバスケットボールシュート、千畳敷駅での海岸散策など停車駅でのユニークな体験もある。列車は特急ではなく快速列車なので、乗車券のほか指定券(520円、閑散期は320円)のみが必要だ。きわめてリーズナブルな列車で、満足度が高くなる。

<関連サイト>
五能線リゾートしらかみの旅(JR東日本秋田支社の公式サイト)


 

第3位 「ろくもん」(しなの鉄道、軽井沢~長野ほか)

ろくもん

JR姨捨駅に停車中の「ろくもん」

旧信越本線の一部区間を転換した第3セクターしなの鉄道が運行する観光列車。JR九州の数ある観光列車を手掛けた水戸岡鋭治氏がデザインした個性的な車両である。ふすま張りの料亭を思わせる和風個室や開放的なテーブル席、こどもが楽しめる木のプールなど楽しさ一杯で、水戸岡氏が「ろく(6)もん」だから「ななつ(7)星」の次に優れた車両と自信を持って製作したとのことだ。
 

信州プレミアムワインプラン

「ろくもん」信州プレミアムワインプラン


軽井沢~長野間でのレストラン列車としての運行のほか、軽井沢を夕方出発するワイントレイン、JR篠ノ井線に乗り入れて姨捨駅付近での夜景を楽しむナイトクルーズ列車などバラエティに富んだ運行をしていて、リピーターでも楽しめる。軽井沢をはじめ、温泉地やリゾート地が沿線には目白押しなので、「ろくもん」を利用した観光や保養旅行も魅力的である。

<関連記事>
水戸岡鋭治の新デザイン観光列車「ろくもん」とは?


 

第2位 「四国まんなか千年ものがたり」
(JR四国 土讃線 多度津~大歩危)

四国まんなか千年ものがたり

大歩危駅に停車中の「四国まんなか千年ものがたり」

「伊予灘ものがたり」に続くJR四国の本格的観光列車第2弾。特急用ディーゼルカーを改造した3両編成の車両は古民家風の落ち着いたもので、テーブル席やカウンター席が主体だ。
 

1号車車内

「四国まんなか千年ものがたり」の1号車車内


大歩危小歩危の渓谷、讃岐山脈の峠越えなど変化に富んだ車窓を眺めながら食事が楽しめるほか、各駅で停車してのイベントなど盛りだくさんの内容で充実している。それでいて、特急グリーン車料金プラス食事代だけで乗車できるので、良心的な価格だと思う。

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観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の優雅な旅


 

第1位 「観光特急 しまかぜ」
(近畿日本鉄道、大阪難波~賢島、京都~賢島、近鉄名古屋~賢島)

しまかぜ

名古屋市内を快走する「しまかぜ」

様々な車両で特急を運転している近鉄が、その歴史と伝統を踏まえて威信をかけて世に送り出した豪華な観光特急電車である。ハイデッカー車両やビスタカー以来の伝統である2階建て車両も連結し、独自なカラーは最優等列車であることをアピールしている。

本革を使用した白いシートは電動リクライニングを装備し、豪華さをウリにしている。ほかにグループで楽しめるサロン席、和風個室、洋風個室とバラエティに富んでいるほか、カフェカーは、カウンター席とはいえ、ピラフやカレー、うなぎなど温かい食事が摂れる。往年の食堂車を彷彿とさせる貴重な存在である。
 

カフェカー

往年の食堂車の伝統を引き継ぐ「しまかぜ」のカフェカー


全てにおいて文句なし、プレミアム感たっぷりなのに、べらぼうに高価ではないところが嬉しい。満点を取れなかった唯一の弱点は車窓の魅力である。大阪線の山越え区間、鳥羽付近の海の情景など見どころもあるものの、平坦な区間も多いのが実情である。それでも、見事1位になったのは、他の列車を圧倒するグレードの高い車両ゆえだと思う。

<関連サイト>
観光特急「しまかぜ」公式サイト


なお、ランクインした観光列車の各項目ごとの点数は以下の通りである。同点の場合は、列車の格(特急や快速)や豪華さが上のものを上位とした。
※すべてガイドの主観に基づいた評価

ガイドによる得点表一覧(クリックで画像拡大)

ガイドによる得点表一覧(クリックで画像拡大)


観光列車ブームは留まるところを知らず、今後も新規の列車が予定されている。もっとも、一番車窓が魅力的な北海道において、会社の経営不振もあって注目を集めるような列車がない。かえすがえす残念であるとともに、将来に期待したいと思う。