夏ドラマは途中に夏休みが入るため、視聴率は取りにくい季節。しかしそれだけに挑戦的な企画が期待できます。それでは民放各系列とNHK、各チャンネルごとにおすすめの1作品を中心に、2017年の主な夏ドラマを紹介します。
 

「できない」がトレンド? 日本テレビ系

  • 水曜22時『過保護のカホコ』高畑充希、黒木瞳、時任三郎、竹内涼真
  • 木曜23:59『脳にスマホが埋められた!』伊藤淳史、新川優愛、岸谷五朗
  • 土曜22時『ウチの夫は仕事ができない』錦戸亮、松岡茉優、佐藤隆太、壇蜜
  • 日曜22:30『愛してたって、秘密はある。』福士蒼汰、川口春奈、鈴木保奈美


イチオシは『過保護のカホコ』(7月12日スタート)。タイトル通り過保護に育てられ一人ではなにもできないカホコ(高畑充希)とその両親(黒木瞳・時任三郎)を中心としたホームドラマ。脚本は『女王の教室』『家政婦のミタ』などの遊川和彦。極端な設定の中に真実の愛をみつけるドラマを得意とし、時代にマッチすると大ヒットになりそうですがどうなるでしょうか。

脳にスマホが埋められた!』(7月6日スタート)も折茂圭太(伊藤淳史)はアパレル会社勤務だがリストラ候補の「できない」系。しかし突然「他人のスマホのメッセージを見ることができる」などの能力を持つ脳内スマホ人間に。企画は放送作家の鈴木おさむです。

ウチの夫は仕事ができない』(7月8日スタート)もタイトル通りの内容。新婚の夫(錦戸亮)がルックスはいいのに仕事ができないことに気づいた妻(松岡茉優)。二人が協力してがんばるお仕事ホームドラマ。『カホコ』『脳スマ』とともに「できない」がトレンドでしょうか?

愛してたって、秘密はある。』(7月16日スタート)は秋元康企画。司法修習生の奥森黎(福士蒼汰)は中学生の頃に母(鈴木保奈美)をDVから守るために父親を殺害した過去が。恋人(川口春奈)との結婚を決意するが、「秘密」を知る何者かのメッセージが届き始める、と愛する人に秘密をさらけだせるか、秘密を知って愛し続けられるかを問うラブミステリーです。

 

リメイク、続編のテレビ朝日系

  • 水曜21時『刑事7人』東山紀之、吉田鋼太郎、高嶋政宏、北大路欣也
  • 木曜20時『遺留捜査』上川隆也、栗山千明、段田安則
  • 木曜21時『黒革の手帖』武井咲、江口洋介、仲里依紗、伊東四朗
  • 金曜23:15『あいの結婚相談所』山崎育三郎、高梨臨


注目は松本清張原作の『黒革の手帖』(7月20日スタート)。何度も映像化される名作ですが、その中でも2004年にテレビ朝日が制作した米倉涼子主演作が有名。今度は事務所の後輩である武井咲主演で。米倉涼子は何作か主演を経験してもイマイチでしたが『黒革の手帖』で悪女を演じてキャラが定まり人気女優に。武井咲も大人の女優に脱皮できるでしょうか。『あなたのことはそれほど』のジトッとした妻役でさすがの演技力を見せた仲里依紗がライバル役なのも楽しみです。

 

東映制作枠は手堅く刑事ドラマの続編。『刑事7人』(7月12日スタート)は第3シリーズ。今回は天樹(東山紀之)の妻と娘が死んだ真相が明らかに、そしてシリーズ最強の敵と闘います。

遺留捜査』(7月13日スタート)は第4シリーズ。糸村(上川隆也)は警視庁月島警察署から異動し京都が舞台になるのは東映太秦で撮影されるため。京都から警視庁にいった『スペシャリスト』の逆パターンです。

あいの結婚相談所』(7月28日スタート)は動物行動学の准教授が結婚相談所の所長になり恋愛指南。こちらも『あなそれ』で存在感を見せつけた山崎育三郎がドラマ初主演。その独特のキャラを生かせればおもしろくなりそうです。

 

SNSで拡散、TBS系

  • 火曜22時『カンナさーん!』渡辺直美、要潤、山口紗弥加、斉藤由貴
  • 金曜22時『ハロー張りネズミ』瑛太、深田恭子、森田剛、山口智子
  • 日曜21時『ごめん、愛してる』長瀬智也、吉岡里帆、坂口健太郎、大竹しのぶ

注目は大根仁が脚本・演出の『ハロー張りネズミ』(7月14日スタート)。『湯けむりスナイパー』『モテキ』など深夜番組でヒットをとばす大根仁、ひさびさの22時台ドラマ。『まほろ駅前番外地』の瑛太と再びコンビを組み、原作は80年代に人気の探偵ものコミック。本人は「いつも通り」といっていますが、放送時間による違いはでてくるはず。どんなドラマになるのか?
 

ごめん、愛してる』(7月9日スタート)は韓流ドラマが原作。主要登場人物4人だけで男女および母と異父兄弟の三角関係二つを構成。その他の人間関係も複雑なラブストーリーです。

カンナさーん!』(7月18日スタート)は主婦でデザイナーのカンナ(渡辺直美)がダメ夫(要潤)や理不尽な上司(山口紗弥加)に振り回されながら前向きに生きる姿を描きます。火曜22時枠は『逃げるは恥だが役に立つ』以来、SNSで拡散してヒットするパターンを得意としていますが、渡辺直美もSNSで大人気と相性よさそう。

 

深夜ドラマで攻めるテレビ東京系

  • 木曜25時『さぼリーマン甘太郎』尾上松也、石川恋、皆川猿時、尾上寛之 
  • 金曜20時『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~ SECOND SEASON』小泉孝太郎、松下由樹 21 
  • 金曜24:12『下北沢ダイハード~人生最悪の1日~』古田新太、小池栄子  
  • 金曜24:52『デッドストック 未知への挑戦』村上虹郎、早見あかり、田中哲司
  • 土曜24:20『居酒屋ふじ』永山絢斗、大森南朋


イチオシは『居酒屋ふじ』(7月8日スタート)。テレビ東京は『バイプレイヤーズ』でドラマなんだけど俳優が本人役を演じる路線を発掘し、『居酒屋ふじ』もその路線。舞台は中目黒に実在の居酒屋ふじ。2014年に亡くなった店主をモデルにした小説が原作。売れない若手俳優・西尾栄一(永山絢斗)が店主の逸話や客との交流で再び夢を追い始める姿を描きます。ダブル主演の大森南朋が本人役(『バイプレイヤーズ』でも芸能界のドンのメッセージを伝える本人役で登場)。他にも岸谷五朗、手塚とおる、おのののからが本人役でゲスト出演します。
 

さぼリーマン甘太郎』(7月13日スタート)はテレ東得意のグルメドラマで素材は甘味。『警視庁ゼロ係』(7月21日スタート)は刑事ドラマの続編で安心できます。

下北沢ダイハード』(7月21日スタート)は演劇の街・下北沢を舞台に人生最悪の一日が起きた人々を一話完結で描きます。スタッフも下北沢らしく小劇場の人気劇作家の脚本、気鋭の映像作家の組み合わせ。

デッドストック』(7月21日スタート)はテレ東新社屋移転をネタにしたホラー。演出に、オウム真理教を取材した『A』や佐村河内守の『FAKE』などドキュメンタリー畑の森達也を加えているのに注目。

 

俳優をそろえるフジテレビ系

  • 月曜21時『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~』山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介
  • 火曜21時『僕たちがやりました』窪田正孝、永野芽郁、新田真剣佑、古田新太
  • 木曜22時『セシルのもくろみ』真木よう子、吉瀬美智子、伊藤歩、長谷川京子、板谷由夏
  • 日曜21時『警視庁いきもの係』渡部篤郎、橋本環奈、三浦翔平、浅野温子
コード・ブルー』(7月17日スタート)がメインの5人をそのままに7年ぶりに復活。期待したいところですがメイン脚本家の交代と山下智久ドラマが最近あまりヒットしないのが気がかりなところ。5女優をそろえてファッション誌の内側を描く唯川恵原作『セシルのもくろみ』(7月13日スタート)とともに、最近のフジテレビにありがちな俳優をそろえることに一番力がかかっている、ということにならなければいいのですが。
 
だからイチオシはフジじゃなく『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』で思い切ったところをみせた関西テレビ制作の『僕たちがやりました』(7月18日スタート)。ちょっとしたイタズラのつもりが大事件を起こし逃亡する高校生たちを描きます。主演は28才の窪田正孝、思い切ってます。

警視庁いきもの係』(7月9日スタート)で日曜21時枠は終わるそうで、敗戦処理の雰囲気があります。
 

朝ドラと深い関係のNHK総合

  • 土曜18:05『悦ちゃん』ユースケ・サンタマリア、門脇麦、石田ニコル、平尾菜々花

『ブランケット・キャッツ』に不祥事穴埋めの『幕末グルメ ブシメシ』はすでに始まっているので一作品のみ。土曜の18時台は「土曜時代ドラマ」という枠タイトルだけど時代劇だけじゃありませんでした。『悦ちゃん』(7月15日スタート)の舞台は昭和10年代と最近の連続テレビ小説、朝ドラで描きそうな時代。そして朝ドラとは深い関係があり、朝ドラ第一作『娘と私』と同じ獅子文六原作です。『娘と私』は獅子文六が妻と死に別れて、男手一つで娘を育てたことをもとに書かれた作品。『悦ちゃん』はその娘、10才の悦子(平尾菜々花)が父(ユースケ・サンタマリア)に再婚してもらおうと嫁探しをするストーリー。スタッフも『とと姉ちゃん』組で朝ドラ的な話になりそうです。