天の川を観察するには?

天の川

天の川

7月7日といえば、短冊に願いごとを書いたり、笹竹に飾りつけをしたりする七夕行事が有名ですが、本来は星を祭る日です。近年では全国各地で星空観察会が開催されるなど、星空に対する意識が高まる日ともいえます。七夕にかかせない天の川を見てみたい、という人も多いでしょう。

ですが、残念なことがあります。2016年に欧米の研究チームが「日本人の約7割が、天の川を見られない環境にある」と発表しました。夜間照明やネオンなど、人工の灯りが空を照らし、夜の明るさが増しているのです。そのため、限られた場所でしか天の川は見られません。

天の川が見たいと思ったら、見える場所へ出かける行動力と、ちょっとした知識が必要です。それでは順を追って説明していきましょう。

 

場所:人工の灯りがない暗いところ

肉眼で見る天の川は、帯状をした白い雲のように見えます。私が星空ツアーなどで「あそこに見える白い雲のようなものが、天の川ですよ」と案内すると、「あれが!?」と驚く参加者が少なくありません。そう、天の川はとても淡い存在なのです。ですから観察場所は、山や高原、海辺など、人工の灯りがなく、街灯りの影響を受けない場所がベストです。

 

時間:完全に夜になってから。目安は21時

七夕の頃の日没は、19時くらいです。ですが日が沈んでも、地平線下にある太陽の影響で、空にはほのかに明るさが残っています。天の川を見るためには、空が完全に暗くなるまで待ちましょう。深夜に観察してもかまいませんが、就寝や翌日の活動を考えると、21時頃が最適といえるかもしれません。

 

方角:七夕の夜は「東」、8月は「南」

天の川は空に固定されているわけではありません。太陽や月、星座が、空の中を移動していくように、天の川も時間の経過とともに、空の中で少しずつ位置を変えていきます。

ここでは観察時間を21時としましょう。七夕の日の場合、天の川は東の空に昇ってきたところ。ですから顔を真上に向けて天頂付近を探しても、天の川は見つけられません。注目してほしいのは東の低空。横這いになっている天の川の両岸に、織姫星と彦星が輝いているのもわかります。
 

7月7日21時頃、東の空に見える天の川

七夕の夜、東の空に横たわっているように見える天の川。その両岸には、織姫星と彦星が輝いています。


同じ時間でも、ひと月経つと天の川は南寄りに見えます。8月は、南の空を見てみましょう。南から天頂付近を通って北の地平線にかけて、帯状をした雲のようなものが見えるはず。それが天の川です。

7月7日21時頃の天の川

7月7日21時頃、天の川は東寄りに見えます。

8月7日21時頃の天の川

七夕からひと月後の8月7日。天の川は南から天頂付近を通って、北の地平線へ。織姫星と彦星は、南の空高く昇っています。


見るべき方角を知っていても、実際に空の下でどっちを向いたらいいのかわからなくなることがあります。そんなとき、持っていると便利なのが「方位磁針(コンパス)」です。
 

私はオイル式コンパスを愛用しているのですが、うっかり忘れてしまったときに、スマートフォンの方位磁石のアプリがとても役に立った経験があります。ただし、星空観察には不向きな点があるので注意が必要です。

というのも、私たちの目が夜空の暗さに慣れるまでには、少し時間がかかります。その途中で、通りかかった車のライトやスマートフォンの画面など、明るいものを見てしまうと、そのまぶしさで瞳がリセット。直後に夜空を見上げると、天の川も星も、見えにくくなってしまうのです。スマートフォンを使った方角確認は、空が完全に暗くなる前に済ませておくといいでしょう。
 

観察方法:肉眼で十分。双眼鏡を使えば感激度がアップ!

夜空を見渡して、天の川を広範囲でとらえるには、肉眼で見るのがいちばん。もし、ツールを使うとしたら、簡単に持ち運べる双眼鏡がオススメです。肉眼では雲のように見える天の川ですが、レンズ越しに見ると、星がいっぱい! まるで陽の光を反射してキラキラと輝く川面のように、天の川もきらめいて見えます。それは何度見ても感激してしまう、美しい光景です。


時間帯を選ばなければ、春でも秋でも冬でも、天の川は見られます。けれど、見応えがあるのは、やはりです。その理由は、夏の星座として知られる「いて座」の付近の天の川が、もっとも幅広くて明るく輝いて見えるから。

夏休みに、旅先や帰省先で美しい星空に出合うことがあるでしょう。そのときこそ、天の川を見るチャンスです。