子どもへの性教育はハードルが高い?

母娘

愛と性は「生」に関わる大切なこと。構えず自然に教えられるといいですよね。

「性」のことを教えるというのは、なかなかハードルが高いもの。そもそも、自分自身まともな性教育など受けたことがないので、子どもにどんなふうに教えればいいのかわからないし、何歳くらいに始めればいいのかもわからない。……そんなふうに思っている親御さんは多いのではないでしょうか。

しかし、子どもが性被害にあうこともありますし、性への関心が高まる思春期以降は、望まない妊娠や性感染症も心配です。性のことを子どもにどのように伝えればいいのか。年齢に応じた性教育について考えてみたいと思います。

 

性教育には2つの側面がある

セックスには「生殖のためのセックス」と「コミュニケーションのためのセックス」という2つの側面があります。ですから、性教育も大きく分けると2つの目的に分かれます。

ひとつは、「どうやって赤ちゃんは生まれてくるの?」という子どもの疑問に答える「生殖教育」や「からだ教育」です。

ヒトのからだはどんな構造になっていて。からだが大人になるにつれ、どのように変化していくのか。精通や初潮は何歳頃に迎えるのか。精子と卵子がどこで作られ、受精すると、どのような経過を経て出産に至るのかという知識を与えるための教育です。

もうひとつは、相手との親密な関係を育むための「コミュニケーション教育」「人権教育」です。

自分も相手も大切にするとはどういうことなのか、お互いに尊重し合う関係とはどういうものなのか。避妊や性感染症に関する知識を身につけることはもちろん、同意のない性的な接触はすべて「性暴力」だよ、といったことも含まれます。

 

「からだ教育」としての性教育はどれだけ早くてもいい

自分のからだについて知ることは、とても大切なことです。ですから「からだ教育」としての性教育に、早すぎるということはありません。

3歳頃になると、男女のからだの違いに気がついて、興味を持ち始めます。なぜ男の子にだけおちんちんがあるのか。どうしてお母さんにはおっぱいがあるのか。どうしてお父さんは子どもを産まないのか。赤ちゃんはどこからやってくるのか。などなど。

自分のからだを知ることは、自分を大切にすることにつながります。また、自分と友達のからだの違いに気がつくことは、違いを認め、尊重していくことにつながります。

残念ながら絶版になっていますが、「あかちゃんはどこから?」という性教育の絵本があります。
 

 この絵本では、色々な肌の色の大人や子どもが登場します。また、性器の色や形も人によって様々だということが自然に描かれています。

性について正しい知識を持っていてほしいけれど、自分で教える自信がないという人は、子どもの本棚に、性教育の本を紛れ込ませておきましょう。自分のからだのことは、子どもの関心分野です。自分で取り出して読み、知識を身につけていくでしょう。

年齢が幼いほど「そういうものなんだ」と、自然に受け入れるようです。
 

年齢に応じて、マンガやイラストの本を与えてもいいでしょう。
 

 

「性」をタブーにすることの弊害

性教育の敷居が高いのは、親である自分自身の性に対する意識やセックス観が問われるからだと思います。性に対してネガティブなイメージを抱いていたり、猥褻なものという捉え方をしていると、それは子どもに伝わります。

また、「大人になったらわかる」と、子どもの疑問に向き合うことを避けていると、子どもは自分のからだについて正しい知識を得る機会を逃してしまいます。

大きな弊害のひとつは、子どもが性被害にあったとき、自分になにが起こったのかわからず、それを伝える言葉を持たないことではないでしょうか。

せめて、「水着で隠れる部分はプライベートゾーンといって、とても大切なところだから、人に触られたり、見られたりしたら、いやだと言っていいんだよ」とか、「触られていやな思いをしたら、内緒にするように言われても、必ず教えてね」といったことは、物心がついた時点で、子どもに伝えておきたいものです。

 

人権教育としての性教育のタイミングは「ポルノに触れる前」

小学校高学年頃には第二次性徴も始まり、自分のからだや異性のからだの変化に関心が向くタイミングです。思春期に入り性への関心が高まる前に、性に関する正しい知識を身につけてもらいたいものです。

性犯罪の多くは、アダルトビデオやアダルト動画などのポルノを「お手本」にしています。ですから、人権教育としての性教育のタイミングは遅くとも「ポルノに触れる前」ではないでしょうか。

ポルノは、男性が欲情することを目的に作られている「ファンタジー」です。ですから、性に関する教科書がポルノだった場合、同意のないセックスも、手荒なセックスも、強姦などの性暴力も“OK”と刷り込まれる恐れがあります。

2016年の夏に亡くなったAV女優の紅音(あかね)ほたるさんは、「あなたの演技が誤解を与え、若い人を傷つけている」と言われたことから、引退後は、アダルトビデオが広めている間違った性知識を修正する活動に携わられたそうです。

セックスとは、暴力とは無縁の、愛情にあふれる素敵なものだと伝えられるといいですね。

 

「拒否しない」は「同意」とイコールではない

先日2017年6月に放送されたNHK「あさイチ」の性暴力特集では、「“性行為の同意があった”と思われても仕方がないと思うもの」というアンケート調査での、泥酔している(35%)、2人きりで飲酒(27%)、2人きりで車に乗る(25%)、露出の多い服装(23%)という結果が紹介されていました。

そもそも泥酔していればセックスの同意など取りようがないと思いますし、2人きりでお酒を飲んだり車に乗ったりすることも、服装も、セックスの同意とは別物です。

女性の側からすれば「無関係」のことが、男性からすると「セックスに同意したサイン」として受け取られてしまうというのは、おそろしいことです。また、そういった男性側の「都合のいい思い込み」によって、性被害にあった女性の落ち度が責められるというのもおかしなことです。

性暴力の被害者は、恐怖のために「拒否すらできない状態」になることがほとんどです。同意とは、拒否されないことではなく「積極的な意思が言葉によって示されること」だと教えましょう。子どもが加害者にならないために。不幸にして被害を受けてしまったときに自分を責めなくていいように。被害を受けた人を更に傷つけることがないように。


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