2042年までは高齢者が増え続ける

総務省統計局の人口推計によると、2019年3月の高齢者(65歳以上)は3572万人(総人口に占める割合=高齢化率は28.3%)でした。国立社会保障・人口問題研究所の高齢者数の将来予測は、2025年は3677万人(同30.0%)で、2042年にピークの3935万人になります。

その後、高齢者の数は減り、2056年には2025年とほぼ同数の3670万人となります。人数は同じくらいでも、高齢化率は2025年の30.0%に対して、2056年は38.0%です。つまり、高齢者の割合が増える分、現役世代や子どもの割合が減るということです。

高齢者の生活は、現役世代の負担に負うところが大きいことは、みなさん、ご承知だと思います。公的年金は現役世代からの仕送りですし、公的健康保険と公的介護保険も現役世代が多くを負担しています。

高齢者が増え、それを支える現役世代が減っていく未来がはっきり推測できる以上、社会保障制度の改革を急がねばなりません。現役世代と高齢者が負担している社会保険の保険料や税金などで足りない分は、借金で賄うことになります。

現状でも、国や自治体の借金はかさんでいて、生まれてくるかどうかわからない子や孫、ひ孫世代につけを回すような状況です。それではダメだということで、社会保障制度を持続可能にするための改革が断続的に行われているのです。
 

年金・医療・介護の社会保障全般が見直される

では、最近の改革を見てみましょう。まず、公的年金には、「物価・賃金スライドの見直し」と「マクロ経済スライドの強化」のルールが盛り込まれました。前者は、物価が上がっても現役世代の賃金が下がれば年金額も減らすというもの。

後者は、物価の上昇率から1%程度、年金額を減らすルールを強化するものです。具体的には、物価が下がったら、今まで通り年金額は据え置くけれど、物価が上がったら数年分をまとめて減らすということです。

次に、加齢とともに利用頻度も金額も高くなる公的健康保険は、高額療養費制度で1か月の医療費の自己負担にストップがかかります。70歳以上は優遇されている、つまり、負担額が少ないのですが、その負担額が増える改革が行われました。

また、75歳以上の後期高齢者は加入する医療保険制度の保険料の軽減措置を受けていますが、これも、縮小されていきそうです。そして、介護が必要になったときに利用できる公的介護保険は、所得の高い高齢者の自己負担割合を増やす見直しが行われました。

公的健康保険と公的介護保険は、現状では、所得の高い高齢者の負担を増やす方向での改革ですが、所得要件は徐々に下がって、負担増になる高齢者層が広くなるでしょう。それによって、今の高齢者の生活もジワジワと厳しくなっていきますが、これから高齢者になる人はもっと厳しくなりそうです。心して、老後の備えをしましょう。

※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆