マダニから感染する新しい病気「SFTS」とは

ハイキングをする夫婦

マダニは春から秋にかけて活動します。山に行く場合は、できるだけ肌の露出を控えましょう

2013年1月、日本国内で初めてSFTS(重症熱性血小板減少症候群:severe fever with thrombocytopenia syndrome)の患者が確認されました。この病気は、2011年に特定された新しいウイルスである、SFTSウイルスに感染することで引き起こされる病気です。
 

SFTSの原因・症状・死亡リスク

SFTS主な症状は発熱と嘔吐や下痢などで、重症化して死亡することもあります。国立感染症研究所によれば、2016年1月6日現在、日本国内では169名が感染し、うち45名が死亡しています。

SFTSは多くの場合、ウイルスを持っているマダニに咬まれることで感染します。このため、マダニの活動期である春から秋にかけて、感染患者が発生しています。日本には、命名されているものだけで47種のマダニがいますが、これまでの調査で、フタトゲチマダニ、ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニといった複数のマダニからSFTSウイルスの遺伝子が検出されています。ただし、SFTSウイルスの人への感染に、これらすべてのマダニが関わっているのかどうかは、まだ分かっていません。

現在、SFTSには有効なワクチンがなく、発症した場合、症状を和らげる対症療法しか治療法がありません。すべてのマダニがSFTSウイルスを持っているわけではありませんが、予防にはマダニに咬まれないことが第一となります。
 

SFTSだけではない、その他のマダニ感染症

マダニに咬まれることによって感染する病気は、SFTSだけではありません。 日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)やライム病など、多くの感染症がマダニに媒介されることが知られています。日本紅斑熱は2~8日の潜伏期間を経て、頭痛や全身倦怠感、高熱などを伴って発症します。高熱と同時に紅色の腫れが体のあちこちに現れます。ライム病は人畜共通感染症で、咬まれてから10~14日後に患部が赤くなり、周辺に拡大します。発熱や筋肉痛、関節痛、リンパ節腫脹などの症状が約4週間続き、放置すると不整脈や心膜炎、顔面神経麻痺、髄膜炎などを引き起こすことがあります。

また、ダニの一種であるツツガムシによって起こるツツガムシ病も知られています。この病気は、咬まれてから5~14日ほどの潜伏期間を経て、高熱と頭痛、筋肉痛を伴って発症し、2~3日後に全身に親指大の紅斑が現れます。放置すると脳炎や肺炎を合併して、死亡することもあります。

日本国内では毎年、日本紅斑熱が180件、ライム病が10件、ツツガムシ病が400件ほど報告されています。これらの病気は抗菌薬で治療することが可能です。しかし、場合によっては重症化や死亡に至ることもあるので、SFTSと同様に、咬まれないようにすることが何よりも重要なのです。
 

マダニ感染症予防・対策に……野外では肌の露出を抑えて

家庭内には、食品などに発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなどが生息しています。SFTSウイルスを媒介するマダニは、こうした家庭内にいるダニや、植物の害虫であるハダニ類とは種類がまったく異なります。マダニ類は比較的大型のダニで、森林や草地など屋外を中心に生息し、市街地周辺でも見られます。

藪や草むらなど、マダニが多く生息する場所に入る時は、長袖と長ズボンを着ましょう。その際、シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れましょう。登山用スパッツを着用するのも効果的です。履物はサンダルなどを避け、足を完全に覆う靴を履いてください。帽子や手袋を着用し、首にタオルを巻くなど、肌の露出を少なくすることも重要です。

マダニは目で確認しやすいことから、服は明るい色のものを着るとよいでしょう。さらに服の上から、DEET(ディート)という成分を含む虫除け剤を用いると、補助的ですが効果があるといわれています。アウトドアで活動した後は必ず入浴し、マダニに咬まれていないか確認を。わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、髪の毛の中などをしっかり見るようにしましょう。

春から秋にかけてはマダニの活動が盛んです。この時期は咬まれる危険性が高まるので、特に注意するようにしましょう。