ついに実現する、国の給付型奨学金。低所得層を中心に、返さなくていい奨学金が2018年度から始まります(一部は2017年度から)。
月3万円を「少ない」という人もいるものの、無利子奨学金などと組み合わせて利用すればいいのです。人によっては人生を左右する資金になることでしょう。
  

ついにスタート!? 国の給付型奨学金

何度か話題に上りながら、肩透かしを食らい続けてきた、大学時代の国の給付型奨学金。数年前に盛り上がったときも本当に作ってくれるかもと思いきや、留学に対する給付型奨学金が設けられてお茶を濁された感じがしていました。
 

学費

低所得世帯の大学進学費用は大きく前進します

そして今回も、世論に後押しされる形で、給付型奨学金創設の話題が浮上、財源問題もシビアだからどうなることやらと思っていたところ、本当に実現しました! 

11月に進学セミナーで数か所を回らせていただいた際、多くの高校の進路指導の先生方とお会いして現場の話を伺いましたが、経済的な事情で進学か就職か悩んでいる学生は少なくないと感じました。

今回の動きによって、学生にチャンスが与えられるのはいいことだと思います。
  

給付型奨学金の内容は?

厳しい経済環境にある学生に進学の道を開き、格差是正につなげるための給付型奨学金制度。政府は来年の通常国会に関連法案を提出し、かかる費用について2017年度以降の予算に計上する予定だそうです。

報道されている政府与党案のポイントを整理すると、次のような内容です。まだ「案」であることは頭に入れておきましょう。

<現在の政府与党案のポイント>
・低所得世帯の大学生に返済不要の資金を提供
・2018年度に本格導入される
・住民税非課税世帯の学生に月2万~4万円を給付
・1学年あたり2万人程度を想定
・必要な資金は200億円程度を見込む
・児童養護施設出身など経済的に特に厳しい学生は2017年度から先行実施(5000人規模)

  

給付額は月2万~4万円

新設される国の給付型奨学金の給付額は月3万円をベースに、進路など負担に応じて給付額が調整されるようです。
国公立大学に自宅通学する学生の場合は月2万円、私立大学に下宿をして通う学生の場合は月4万円などとなりそうです。自宅通学の私大生や、自宅外通学の国公立大生は金額を刻むのかどうかはまだ不明です。
  

1学年あたり2万人程度

2018年度以降に本格的にスタートしてからの人数は、1学年あたり2万人程度と見込まれています。その内訳は次の通り。

・無利子奨学金を受けている成績優秀な生徒(1万人)
・部活動などで成果を出した生徒(5000人)
・経済的理由で高校卒業後に就職したが、給付型があれば進学していた生徒(5000人)


問題は、どうやって対象者を選ぶかですが、高校が推薦した生徒の中から文科省や日本学生支援機構が選ぶ形になりそうです。全国に約5000校ある高校等に最低1人以上を割り当てるとのこと。推薦時に活用するガイドラインも策定されているようです。
  

成績要件は?

成績は5段階で「4以上」という話も出ていましたが、まだ決まっていません。ガイドラインが決まれば明確になるはずです。
いずれにしても、各校1~数人の採用と狭き門となれば、やはり成績は求められることでしょう。人物なども評価して推薦されるという話も出ています。
  

財源はどうなる?

財源については、所得税の特定扶養控除を縮小する案が財務省から出されているようです。また、給付型奨学金ができたことで、ほかの手当などで出していた生活支援分を減らせる分もあるとみられています。
  

給付型奨学金以外の2つの対策

国の給付型奨学金以外にも、2017年度から、2つの動きがスタートします。

1つは、2017年度から始まる、日本学生支援機構による「無利子奨学金」。従来の無利子の第1種奨学金は成績が平均3.5以上でないと申し込みができませんでしたが(実際に採用されるのは4以上という噂も)、今回の無利子奨学金は完全に成績基準を外しました。住民税非課税世帯であれば希望者全員が無利子で借りられるものに。高校などを通じて、すでに募集も行われました。

もう1つは、卒業後の年収に応じて奨学金の返済額が変わる「所得連動型返還制度」の創設です。こちらも2017年度から始まります。卒業後に年収が約144万円未満であった場合、月返還額は2000円に抑えられます。
  

大きな一歩です

給付型奨学金の規模が小さいという批判があるものの、個人的には無利子奨学金と組み合わせて利用すればよいと考えます。

3万円分のアルバイトの時間が減ると考えれば、週約8時間の勉強時間やサークルを楽しむ時間、人によっては睡眠時間を増やすことができるのです! こうした対策が実行されたこと自体、ものすごく大きな一歩だと、感激しています。

【参考】
「給付型奨学金制度の設計について」 文部科学省

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