60歳定年後も働く人たちの現状

国が企業に対して「原則、希望者全員を65歳まで雇用すること」を義務付けた2013年4月の「改正高年齢者雇用安定法」から4年が過ぎました。その影響でしょうか、定年後に継続雇用された人の割合は、2012年の74%から2015年には82%に上昇しました。

2015年の60~64歳の雇用者は438万人、65歳以上は458万人(「平成28年版高齢者白書」内閣府)です。65歳以上も働くのが当たり前の時代になったようです。

問題は賃金です。正社員として継続雇用されても、賃金は定年時の7割程度、非正社員では5~6割程度です(厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」)。最近はシニアの経験が重要視されていますので、賃金の調整が期待されます。

<正社員の賃金/(非正社員の賃金)>
●男性
50~54歳  440万円/(247万円)
55~59歳  431万円/(247万円)
60~64歳  323万円/(255万円)
65~69歳  307万円/(233万円)

●女性
50~54歳  299万円/(187万円)
55~59歳  290万円/(182万円)
60~64歳  256万円/(183万円)
65~69歳  256万円/(172万円)

では、第一生命経済研究所が2016年10月に行った「定年前後の再就職と継続就業の為の準備についての意識調査(対象:55~69歳の男女1000人)」から、定年後の就労のポイントを見ていきましょう。
 

定年後に継続雇用の割合は女性が多い

60歳以降同じ会社で継続雇用された人は、男性53%に対し女性67%。女性のほうが多いのは意外です。一方、再就職(定年退職し他の会社に就職)したのは男性26%、女性16%で、定年後も80%程度の人が働き続けています。

再就職にあたって、「退職前から再就職先が決まっていた」のは男性37%で、女性は22%です。「すぐに見つかった」のは男性30%、女性18%。男性に比べ女性はかなり苦戦しています。
 

再就職先はどう探した?

男性は、「友人知人の紹介」が37%、続いて「前の勤め先の紹介」が26%。案外楽に再就職しているようです。それに対し女性は、「ハローワークの利用」がトップの33%で、インターネットの求人情報、新聞・雑誌・地域情報誌の求人欄・民間の人材紹介会社、などの様々な情報を利用して再就職しています。「前の勤め先の紹介」が4%に過ぎないのは驚きました。

<再就職先の探し方トップ3>
●男性

  • 知人・友人が紹介してくれた  37%
  • 前の勤め先が紹介してくれた  26%
  • ハローワークを利用した   20%


●女性

  • ハローワークを利用した  33%
  • 知人・友人が紹介してくれた  29%
  • インターネットの求人情報で探した 22%

 

働き続けるためにどんな準備をしている?

「定年後も働き続けるために必要なことは?」に対する回答のトップ3は「体力・モチベーションの維持・気力」で、性別・年齢を問わず同じです。他に「専門的な知識・技能」や「幅広い知識・技能」も上がっています。

<定年後も働き続けるために必要なこと>
1位 身体的な健康と十分な体力
2位 働く意欲
3位 精神的な健康とメンタルの強さ

高齢になっても働き続けるには、「体力・モチベーションの維持・気力」が重要とはわかっていても、そのために実行していることは「特にない」が大勢を占めています。理由は、「時間的な余裕がない」「仕事上必要な知識・技能が既にある」「費用がかかる」です。わずかですが「仕事で活用できる資格を取得」、「通信教育を受けている」など頑張っている人もいます。
 

AIがライバルに!

AI(人工知能)の発展が急速に進み、10年後は現在の仕事の多くをAIが担う、と言われています。既に翻訳、ホテルやショールームで受付ロボット、資産運用のポートフォリオを策定するロボアドバイザー、コールセンターでは「オペレーターのサポートシステム」でAIが使われています。仕事の多くをAIにバトンタッチするその時には、新しい仕事が生まれ、勤務形態が変わり、新しいスキルが必要になるでしょう。現在の仕事の中で数年後も通用するスキルを身に付け、さらにAIと調和・共存できる人間力を磨く必要があるのではないでしょうか。