妊娠時のつわりは流産リスク低減に関連!? うまく付き合うコツは?

米医学誌「JAMAインターナル・メディシン(JAMA Internal Medicine)」の研究論文で、26日、妊娠時のつわりは、流産リスクの低減に関連しているとの調査結果が発表された。

米医学誌「JAMAインターナル・メディシン(JAMA Internal Medicine)」に26日、妊娠時のつわりは、流産リスクの低減に関連しているとの調査結果が掲載された。女性が妊娠早期に経験する吐き気や嘔吐が胎児を保護する作用がある可能性があるという。

 

今回の発表では、吐き気と嘔吐が妊娠損失リスクを低減させる可能性の理由にまでは触れていないが、妊婦の50~80%がわずらうと言われているつわりの原因解明にまた一歩近づいたといえるだろう。

 

そもそもつわりとは、どれくらい続くものなのか?軽減させる方法はあるのか…? つわりとうまく付き合う方法について、All Aboutの専門家は次のように解説している。

 

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つわりの時期はいつからいつまで?ピークは妊娠何週目?

産科医の竹内正人氏によると、一般には、妊娠4~6週目ぐらいからつわりが始まり、妊娠12~16週目ぐらいには落ちついてくる場合がほとんど。つわりの辛いピークは妊娠7~9週目ごろという人が多いという。とはいえ、妊娠10週ぐらいに早々とつわり症状から解放されてしまう人もいれば、妊娠後期や赤ちゃんが生まれるまで、ずっとつわりが続いていたという人もおり、つわりの期間は人それぞれ違うのだとも述べている。

 

つわりのおもな症状

一般的には「むかつきや吐き気」「嘔吐」「眠くてたまらない」「頭が重い」「体がだるい」「唾液が多くなる」などの症状があるつわりだが、「においに敏感になる」「偏食傾向になる」「食べづわり(何か食べていないと落ち着かない)」などもつわりの一種。いつもより少しムカムカするなぁという程度の軽い人もいれば、つわりの間中ずっと寝込んでしまう人もいるほどで、症状も程度も人それぞれ、と竹内氏は説明している。

 

つわり症状を軽くする対処法とうまく付き合うための心得

残念ながら、今のところつわりを治す方法はなく、ただ終わるのを待つしかない。それでも、つわり症状を軽くするコツはあるので、次の方法を試してほしいと竹内氏。

 

1.気分が悪くなったらすぐに休む

2.おなかがすく(胃が空になる)前にこまめに食べるようにする

胃が空になると、胃酸がでてきて、むかつきを感じやすくなる。また食事の間隔があくと、血糖値が下がって、吐き気を催す。

3.たんぱく質と複合炭水化物をとる

複合炭水化物とは、主食といわれる、米、うどんその他麺類、パン、マフィン、パスタ、クラッカーのこと。どちらもつわりの予防になると言われている。

4.就寝前に軽食をとり、朝も起きる上がる前に、ベッドのなかで複合炭水化物を摂るようにする

つわりのことを朝の病気(morning sickness)と呼ぶのは、朝に胃が空っぽになっていて、むかつきが増悪することが多いため。

5.栄養のバランスより、食べられる物を重視

見かけやにおい、味などで吐き気を催すものは避けること。つわりの期間は、栄養のバランスより、食べられるときに、食べられるものを、食べられるだけ食べるのが原則。

6.水分をできるだけ多く補給するように心がける

この時期は、炭酸水でも口に入れられるものでOK。水分が気持ち悪くなる人は果実、生野菜など水分が豊富なものを食べるようにして。飲み物を食べ物を一緒にとると負担がかかるときは、食間に水分を。

7.吐いた後は、必ず歯を磨くか、口をゆすぐ

歯磨き粉を気持悪くならないものにかえましょう。歯ブラシが口にあたると気持ち悪くなる場合は、小さなも歯ブラシでみがくか、マウスウオッシュで口をゆすぐだけにしておくとよい。

8.つらさを周囲に理解してもらい、家事などの仕事を協力してもらう

9.ブラジャーなど体を締めつけるものをやめる

10.外出したり趣味に没頭したりして、気持ちを他に向けてみる

11.希望がある場合、医師に処方してもらう

ビタミンB6(商品名:ピドキサール)、漢方の小半夏加茯苓湯などが、吐き気を和らげる場合もある。

 

こんなときは病院へ

また「朝から晩まで吐いている」「体重が4~5kg減った」「水分を受けつけない」「尿がほとんど出なくなった」「フラフラする」といった症状があったら、妊娠悪阻(にんしんおそ)と呼ばれる病気の範ちゅう。竹内氏は、無理せず病院へ行くことをすすめている。

 

女性の体の中ではこれまでにない劇的な変化が起こるが、赤ちゃんが発育するためのプロセスとして受け入れ、無理せず向き合っていくことが大切だと言えそうだ。

 

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