アラサーが考える恋愛とお金 第6回

デート代とは話が別。気まずい「ホテル代の割り勘」問題、その実態は?【アラサーが考える“恋愛とお金”】

事前に話し合う機会が少ない「ホテル代の割り勘」問題。アラサー女性たちに取材してみると「相手のことが好きだから支払いたいし、自分からも誘いたい」「デート代の割り勘はいいけど、ホテル代となると複雑……」など、人それぞれ様々な意見を持っていた。


デートや婚活、結婚式……恋愛や結婚にはお金がかかる。特に現代社会においては、働き方や生き方の多様化が進み、恋愛とお金に対する価値観も変容している。本連載では、これからの「恋愛とお金」について、アラサーの恋愛ライター・毒島サチコが取材をもとに考察。第6回は「ホテル代の割り勘事情」について紹介する(第5回はこちら)。
 

「誘ってくるのは男性側だから」“割り勘したくない派”の本音

「デート代の割り勘はいいけど、ホテル代の割り勘は絶対嫌」
 
こう語るのは、“ホテル代の割り勘はありえない派”の沙月さん(仮名・30歳)だ。
 
「旅行先での旅館やホテル代の2万円を割り勘にするのはOK。でも、ホテル代を割り勘にするのは同じ1万円でも絶対嫌。金額の問題じゃない、気持ちの問題。『ホテル代出して』って、相手を大切にしていたら出ない言葉だと思うから。だいたい誘ってくるのは男性側だし」
 
沙月さんは、今まで一度もホテル代を出したことも「出して」と言われたこともないという。もし「割り勘で」と言われたら、「即刻別れます!」とのこと……。
 
沙月さんのようにデート代(旅館やホテルを含む)は出せても、ホテル代の割り勘は「嫌だ」と思う女性は多いようだ。
 
2021年、ファッション誌『MORE』(集英社)が、20~34歳の女性500人に実施した大規模アンケート調査『モア・リポート』によると、「性行為の主導権」について「お互いに平等」と感じている女性は44.8%。「相手の意思が優先」と回答した女性は33.4%で、「自分の意思が優先」と回答した13.1%を2倍以上上回った。
 
ホテルに行くのはもちろん合意のもとだが、主に男性側の要望を受けて、女性がホテルに行くケースが多いことが分かる。
 

「ご自由にお取りください」の無料アメニティではしゃぐ姿に幻滅?

そんな声が多い中、「ホテル代はずっと割り勘だった」というケースもあるようだ。
 
「ホテル代はきっちり割り勘でした(笑)」
 
3年前、ホテル代は必ず割り勘だったという未知さん(仮名・29歳)だ。
 
「友達以上恋人未満の関係の男性(私は好きだったのですが……!)と、たまにホテルに行ってました。基本彼とは、食事も割り勘だったのですが、初回のホテル代はどうなんだろう……と思っていたら、普通に『休憩代は1人3000円か。いい?』って言われて(笑)。それからホテル代割り勘は当然になり、私から『今日どう?』って誘うこともありましたね」
 
特に割り勘に対しての抵抗感はなく、その後も彼と関係を続けていた未知さん。しかしある日、彼と関係を切ろうと決意するきっかけとなる出来事が起こる。
 
「新宿にあるバリ風のホテルに行った時のこと。『ご自由にお取りください』(おひとり様3つまで)」というコーナーがあったんです。私は美容グッズとお菓子を3つとって部屋に上がろうとしたのですが……。彼は『え、まじ?これ全部無料!?』と興奮して、おつまみとか、お菓子を10個くらい取って。フリードリンクも何度も取りにロビーに降りるし、1人で大きなお風呂に大量の入浴剤を入れて楽しんで……。その姿に幻滅しました」
 
このとき、未知さんは「自分は大事にされていない」と思ったのだという。結局この男性と未知さんが付き合うことはなかった。
 
今では未知さんも“ホテルの割り勘はありえない派”だ。
 

相手の経済的な面を考慮して「好きだから出す」という意見も

話を聞けば聞くほど、アラサー女性からは、ホテル代を割り勘にするのは結局「なし」という意見が飛び交う。しかし相手が“好きだから”こそ出すという意見もあった。
 
「先日、人生ではじめてホテル代を割り勘にしました」
 
こう語るのは、瑠理香さん(29歳/飲食関係)だ。
 
「彼は、飲食店の従業員だから、ホテル代を毎回出す余裕がないんです。それを分かってるから、私から『半額出すね』と言う。昔だったら絶対こんなこと言わなかったし、むしろホテル代割り勘なんてありえない! って思っていました。でも、割り勘がありえないって思うのって、結局相手の事をそんなに好きじゃないからだと思う。私は今の彼のことが好きだから、自分も出す。私からホテルに誘うこともあるし」
 
彼と体の相性が抜群によく、彼のことが好きだからこそ自分から割り勘を提案するという瑠理香さん。
 
「彼から割り勘でって言われたわけじゃないし、割り勘だから“愛されていない”とは感じない」と語る。
 

自分から「行きたい!」と提案する女性が増えたら状況は変わる?

「ホテル代の割り勘だけは絶対嫌」から「好きだから割り勘OK」という声まで様々な意見が飛び出した今回のホテル代の割り勘事情。
 
現状、ホテル代の「割り勘は嫌だ」と考えるアラサー女性が多いようだ。
 
実際、「ここ行ってみたい!」「これ食べてみたい!」と女性がデート場所の提案をすることは多々あるが、「ホテルに行きたい!」と男性に提案する女性は少ない。男性の「したい」に渋々付き合っているケースもあるだろう。
 
でももし、自ら「ホテルに行きたい!」と提案する女性が増えたら……結果はまた変わってくるのかもしれない。


※回答者のコメントは原文ママです


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